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 もう一つ気になるのが「受け将棋」「受けの棋風」などで使われる「受け」という用語。野球やサッカーでいえば「守備」と同義なのだろうか。高野六段が、実戦例をもとに解説する。

プロの棋士は、総じて「受け」がうまい

高野 これは木村一基九段(先手)と、藤井猛九段(後手)の一戦です。

 

さくら 木村先生といえば、「受け将棋」で有名ですよね。ニックネームが「千駄ヶ谷の受け師」。

高野 そうです。そして藤井猛九段は、振り飛車のスペシャリストですね。局面1は、先手の木村九段が、4三に飛車を打ったところですが、この飛車はどう使いますか?

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さくら 敵陣に打ったわけですから、普通は攻めに使いますよね。

岡部 4一の金取りにもなっていますし。

高野 普通はそう考えますよね。しかし、ここから4手進んだ局面2はこうなっています。

 

さくら 飛車が竜になって守っている(笑)。

高野 とてもわかりやすい局面を紹介していますが、たとえばこういうのが「受け将棋」ですね。

岡部 馬は受けに戻すとよく言いますが、竜を2枚も受けに使っているんですね。

高野 プロの棋士というのは、総じて受けがうまい。アマチュアの方でも攻めならばプロとくらべて遜色のない人もいますが、受けがうまい人はなかなかいない。そんな受けがうまいプロのなかでも「受けの棋風」と呼ばれるのは、やはり突出しているものがあるわけです。

岡部 技術はもちろんでしょうが、考え方が違うんですかね。

©石川啓次/文藝春秋

「受けの棋風」の人は「面倒を見る」のが嫌にならない

高野 大山康晴十五世名人も受けが強いことで有名でした。その大山先生を、私の師匠・中原誠十六世名人は「五目並べではだいたい3で止めるのを2で止めてくるイメージ」といっていました。

岡部 普通の人には、なかなかできないですね。

さくら 攻めたくなっちゃう。

高野 「受けの棋風」の人は「面倒を見る」のが嫌にならない人ともいえるでしょうね。

 敵の攻めの相手をすることを「面倒を見る」といいますが、これを丁寧にできる人。

さくら 「一か八か勝負して、早く帰ろう!」とは、ならない?

高野 ならない。なかなか帰らない。

さくら 「千日手」も辞さない永瀬拓矢叡王とか?

高野 そう。帰る気がないから(笑)。将棋盤の前にいるのが大好きなんですよ。麻雀でいえば、夜中の3時になっても、丁寧に降りられる人ですかね。

岡部 すごくわかりやすいです(笑)。

『将棋「観る将になれるかな」会議』に掲載されている棋風チャート

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「観る将」が気になる質問への答えは、すべて『将棋「観る将になれるかな」会議』に書かれている。

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