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 チケット売り場に着くと、インド人が「俺が買って来てやる」と意気揚々と窓口に走って行ったが、通常料金(約2500円)を請求されたので、「多分障害者は割引になるんじゃないかなぁ?」と彼に言うと、隣で話を聞いていた謎の老婆に声をかけられた。

「この紙を持って行きなさい、あなたたちは問題なく中に入れるでしょう」

 言葉はわからないけれど、なんとなくそう言っているような気がした。この老婆も怪しさ満点ではあったが、無料で入れるならこれほどありがたいことはない。

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世界遺産で謎のインド人との出会い。あなたならどうする? ©三代達也

インド人、うそつかないは本当だった!

 通常の入り口とは別に、車椅子用の入り口がある。そこに行くと、確かに無料で入ることができた。しかし、入り口まで辿り着くと門番のようなお兄さん2人に制止された。

「残念ながら今日は入れない。昨日の雨の影響で、階段昇降用のリフトが動かないんだ」

 くぅ……。せっかくここまで来たのに、アテネの一番の目的なのに、あきらめなければいけないのか。

 落ち込んでいたら、インド人が「俺が担いでやるよ」と言ってくれた。どうやら、パルテノン神殿へ行くには、2つリフトがあるようだ。1つは階段昇降用、1つは崖を垂直に上る用。もし、崖を上る用のリフトが壊れていたらあきらめなければいけないが、階段なら登れるかもしれないぜと説明してくれた。少しだけ希望が見えてきた。

 門番のお兄さんたちも、「お前たちクレイジーだなぁ」といった顔で僕たちを中に通した。

 階段にたどり着いたが傾斜がかなり急で、しかも30段ほどもあった。これは、インド人1人ではどう考えても無理だ。周りを見ると、階段の下で家族を待っている車椅子のおばさまがこちらを見ていて話しかけてきた。

「私も登りたかったけど、この階段を見てあきらめて、家族を行かせて待ってるの」

 うむ、普通はあきらめるだろう。

恐怖のリフト ©三代達也

 するとインド人が「ちょっと待っていろ」と、どこかへ走っていった。戻ってきた彼の隣には、屈強そうなスペイン人の男性が。車椅子込みで重量80キロはある僕を、よっこいしょ、と2人がかりで持ちあげて、1段1段と上に進んでいく。

 日の照るアテネは想像以上に暑く、2人の額からは汗が吹き出している。何度も休みながら、何とか上にたどり着いた。担がれたままの僕でさえ、驚愕の展開だ。

 3人で「俺たちやったな! やってやったぜ!」みたいなハイテンションで抱擁し、スペイン人とはそこで別れた。なんかすごい。このあっさりとした一期一会の感じも、だんだん慣れてきた。

 階段を登り終えたあとは、絶叫マシンの4倍ほどスリルのある崖登り用の垂直リフトに乗って、神殿のある丘までたどり着いた。神殿の周りの路面もガタガタだったが、ずっとインド人の彼が押してくれた。