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ホワイト国除外で日韓関係は底が抜ける。文在寅は徴用工問題をここですり替えた!

同志社大学教授(韓国政治)浅羽祐樹氏インタビュー #1

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 政治, 国際, 経済

 これは韓国側の完全な誤解です。日本企業の資産が差し押さえられている時点で、すでに実害が及んでいます。にもかかわらず、そこまで考えが及んでいない。韓国側の認識はその程度なのです。日本側が「徴用工」問題の大法院判決に関する韓国政府の無作為について、「国際法違反状態の放置」「日韓関係の法的根幹への挑戦」として厳しく受け止めていることも、正しく理解されていません。決定的なすれ違いが続いているのです。

ソウル市内の徴用工像の隣で日本の輸出規制強化に抗議する男性 ©共同通信社

アクロバティックに変化する韓国の理屈

 そもそも、1965年に締結された日韓請求権協定では、両国間の請求権に関する問題は〈完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する〉、〈いかなる主張もすることができないものとする〉と明記されています。より上位の規定である日韓基本条約で、1910年の韓国併合は「もはや無効」と確認した上で、同協定は結ばれています。日本の政府も司法も、この立場に立っていますし、韓国も「徴用工」に関しては、同じ立場だったはずでした。
 
 盧武鉉政権下の2005年、日韓国交正常化40周年の際に、韓国政府は請求権協定についての法的な立場を見直して、「慰安婦」「被爆者」「在サハリン韓国人」について、個人請求権は放棄されていないとしました。このときも「徴用工」の扱いが論点になりましたが、「65年の協定締結の経緯やその後の韓国内の措置を考えれば、他の3つとは一緒にできない」として、「法的には解決済み」と確認しました。ちなみに、文在寅大統領は、当時大統領府の高官で、当事者でした。
 
 それが2018年10月の大法院判決では、日韓併合は「もはや無効である」というのではなく、「そもそも無効だった」という主張に立ち返った。1910年から45年までの日本による韓国統治は強制占領にすぎず、「不当で不法」ということです。だから請求権協定とは無関係に、不法行為の慰謝料を元「徴用工」に支払え、という理屈にアクロバティックに変化したのです。

文在寅は“反「親日派」大統領”である

 では、そういった変化の真っ只中に立つ文大統領とは、どういう人物なのでしょうか。
 
 文大統領について、「反日」だとか、「親北」だと言われますが、私は少し違うのではないかと考えています。あくまで、国内の保守派を悪と捉えることが第一である「反『親日派』大統領」なのです。少し事情を説明しましょう。