大統領を悩ませる厳しい経済情勢
文政権は3年目に入りましたが、依然として「積弊清算」を続けています。当初は、8割を超える支持率を得ていた文政権ですが、時間が経つにつれて、国内外の問題をすべて前政権の責任にはできなくなっています。
特に厳しいのが経済です。最低賃金の全国一律の急激な引き上げや若者の雇用創出、大企業偏重の経済システムの是正など経済政策に力を入れていますが、最低賃金の引き上げでは当初の目標達成期日を撤回するなど、その成果は芳しくありません。
なかでも雇用は最優先の政策でした。大統領に就任して真っ先に行ったのは、大統領の執務室に、雇用政策の推進状況を18の指標で確認するための電光掲示板を設置することでした。雇用を安定させ、経済成長に努めたいという狙いですが、国民もそのロジックが破綻しはじめていることに気付いています。
例えば、「2020年までに最低賃金を時給1万ウォン(約1000円)にする」という政策。文氏は大統領就任からわずか2年で、3割近くも最低賃金を上げました。しかし、実態としては、各方面から反発の声が上がっています。というのも、全国一律で最低賃金を上げたために、地方を中心に中小企業や自営業、食堂など、安いアルバイトを雇用してなんとか営業している業態で、人員を削減する動きが起こり、結果として人手は減って労働強化になるばかりか、韓国全体の雇用が伸び悩んでしまいました。
韓国では、来年4月に総選挙を控えており、政権にとって経済対策は最重要課題です。その頃までに、今回のホワイト国除外によって経済的影響が広がり、それが政治的にも跳ね返るようだと、文大統領も「徴用工」問題で動く可能性が出てきますが、今のところ、危機時には「挙国一致」で政権を支えようという「旗下集結効果」が見られます。