海外企業が得をする日本の法律の"抜け穴"
そして、GAFAM対策を日本が急がなければならない理由もはっきりしています。例えば、GoogleやAmazonは日本で合同会社しか設立しておらず、そこで、2,000万円だ、3,000万円だと高額の報酬をもらっている日本人は、その何割かを株式で支払われていたと明言しています。
Googleの退職エントリーラッシュに見る、多国籍企業のフリーライド感 | プレタポルテ by 夜間飛行
http://pret.yakan-hiko.com/2019/03/31/yamamoto_190331/
適法ではあるのですが、確定申告で納税されるのは所得税分だけであって、いまや新たな増税枠とも言える社会保険料はこの株式で支払われた分は支払いの対象になりません。つまり、海外企業で高給取りが増えれば増えるほど、社会保険料という点では払わない人たちが増える、すなわち、日本で真面目に経営をし、またそこで働く人たちががっつりと支払わされる社会保険料によって成立する日本の保険制度は、これらのGAFAMの一部は負担せず、しかし日本の優秀な社員を高給で引き抜き、日本社会で利益を得て、事業をしていることになります。
また、同様に一部は日本での租税もアイルランド法人などを使って回避していることになりますし、そりゃあB29が飛んでくるのは仕方ないにしても竹槍の一つも手に持っておきたいと考える日本人は少なくないのでしょう。
日本企業が海外と戦える仕組みをどう作っていくのか
ただ、よく考えてほしいのは、なぜ私たちは竹槍を持たなければならないところまで追い込まれてしまったのか、ということです。自分の人生を考えて、高い報酬を求めて外資系に転職していく日本人の若者が悪いわけではありません。単に「富士通はほんと駄目な組織だね」とか素朴な感想を持つのは当然としても、私たちや私たちの子どもの世代が竹槍を持たないでも望む仕事がストレスなくできるような日本社会、日本企業を育成し、海外勢とも互角に戦えるような仕組みをどう構築するべきかを考えなければならないのではないかと思います。
(著者謝辞:この記事の執筆にあたっては、富士通グループ、NEC、NTTグループほか、多くの技術者の方のご意見を頂戴し、参考にして執筆をしました。すべての文責は山本一郎にあります。お考えを寄せていただいた皆様には、深く感謝を申し上げます)
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