新聞を読んでいて面白いものに「関係者」の言葉がある。
内部に近いところからコメントを引き出せば記事は厚みを増す。
たとえば今年1月4日の読売新聞。
「亥年選挙」の解説で「日本政府は今年のG7議長国のフランスと交渉し、8月に予定されるG7サミットより早い6月のG20開催にこぎ着けた」と書いた。そのあとの“首相官邸筋”のコメント。
《首相官邸筋は「全ては参院選を前に見せ場を作るためだ」と明かす。》(読売1月4日)
つまりG20で成果を見せて参院選をやりたいという首相サイドの計算がわかる。※ちなみにこのとき期待された成果とは北方領土で「計算違い」だったが……。
このような関係者コメントは説得力がある。新聞の腕の見せ所だろう。
スポーツ紙の各一面は、宮迫「会見したくない」「逃げた!」
しかしこの1カ月くらいの新聞を読んでいると、「関係者の話」記事の危うさも感じた。今回はそれらについて振り返ってみたい。
まず取り上げたいのは7月20日のスポーツ紙の各一面である。
「宮迫会見拒否 逃げた!何一つ語らず引退」(日刊スポーツ)
「宮迫『契約解消でいい 会見したくない』」(スポーツ報知)
「宮迫解雇 『会見したくない』最後まで逃げ腰」(サンケイスポーツ)
「宮迫解雇 引退申し出却下 吉本と信頼崩壊」(スポーツニッポン)
この数時間後にあの「宮迫・田村亮会見」がおこなわれた。そこで主張された経緯は「会見拒否」「逃げた」とは正反対だったのはご承知の通り。
なぜこんな劇的なことが起きたのか。事務所の契約解消のお知らせをもとに記事を書いたからだ。