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――運営に関する、ウラ話などを教えてください。

「ぶっちゃけてしまえば、お金の話ですよね。例えば、関西棋士は交通・宿泊費が掛かるから呼びにくいという部分がどうしても出てきます。だから前日に東京での対局がついたとき、そのついでに参加してもらったりとか……。もっと具体的な話を始めるとまずいので、まあこのくらい(笑)」

郷田真隆王将と加藤桃子女流二冠によるサイン会(2015年)

――お金の話はデリケートですが、運営サイドからすると、最も大事な話ですからね。

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「でも、基本的に棋士の皆さんは協力的で、ありがたいです。あとは、人気が特にある棋士と、そうとはいえない棋士の扱いに気を使うことでしょうか。例えばそういう2人ではサイン会を同時には行わない、など」

株主優待券マニアとして一躍人気者になった桐谷七段。急遽行われた撮影会では、中村九段が撮影係に(2014年)

――なるほど。

「でも、ファン目線になると、どうしてもスター棋士に多くの仕事をつけてしまいます。例えば鈴木環那さん(女流二段)。彼女は人気があり、仕事もできる。だから司会・聞き手・サイン会など、食事をとる暇もないスケジュールで仕事をお願いしてしまったことがあります。今ならそんなことはしませんが、本人の負担を考えなかったのは反省点です」

大会に出なくともイベントを観るという人が増えた

会場を訪れた地元出身の瀬川晶司五段と談笑中(2013年)

――最近の将棋ブームから、将棋まつりが変わってきた部分などはありますか。

「最近というよりは、羽生さんの前と後で大きな違いがあったなと思います。羽生さんの登場から、将棋を観る人が増えてきたと思いますね。将棋まつりの会場に“羽生というスター”を一目見ようと訪れる層が増えました。それ以前は、まつりで行われている将棋大会に出る、という層が中心でした。公開対局や指導対局はそのついで、という感じ。ですが、今は大会に出なくともイベントを観るという人がかなりの割合を占めています。また女性ファンが増えたのも最近の傾向でしょう。先日行ったプレイベントにも、かなりの女性ファンが来てくれました」

高橋和女流三段と桐谷広人七段によるトークショー(2014年)

――改めて、今回の将棋まつりを楽しみにしている方々へ一言お願いします。

「20回が一つの目標でしたが、昨年にクリアしてホッとしています。毎年このイベントを楽しみにしてくれる方が多くなったので、それに応えるべく、毎回工夫を凝らして臨みたいですね。ちょっとしたことでファンの方の反応が変わりますが、それが運営の努力した結果だと思うと励みになります。将棋まつりは、普段見ることができない棋士の姿を見られる場所だと思っています。それが見られればファンも喜ぶはずですし、そういうことを考えてやっています」

写真=相崎修司(キャプションの段位等は撮影当時のものです)

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