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韓国は歴史を善悪二元論で語ってしまう

 それは、言うなれば「保守派の歴史」である。具体的には、1948年に大韓民国を樹立した李承晩政権、そして1963年に軍事独裁政権を樹立した朴正煕政権だ。

 実際、文在寅政権は、こうした歴史の“見直し”を始めている。

現政権は朴正煕時代を全否定している ©共同通信社

木村 実は今年、小学校の教科書から「漢江の奇跡」という文言が消えました。この言葉に象徴されるように、韓国の経済成長が一気に進んだのは朴正煕時代です。この時代を否定することは韓国の近代化そのものを否定することになりかねない。文在寅政権をはじめ左派は、そこをどう処理するのか。相当、強引な作業になるでしょう。

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 軍事独裁政権を敷いた朴正煕にマイナス面があることは否めません。しかし、一方でプラス面だってある。「漢江の奇跡」は、否定できない歴史的事実で、これまで多くの韓国人も誇りに思ってきました。左派がプラス面を認めずに朴正煕時代を全否定するのは、非常にバランスが悪いと思います。

ジャーナリストの崔碩栄氏 ©文藝春秋

木村 歴史を善悪二元論で語ってしまうのが韓国の特徴ですね。

 韓国では「歴史」も「道徳」なんです。実際、「社会科」は「道徳」と同じグループの科目で、歴史を学ぶ意義は、国民全体で「民族主義の重要性」を確認することなんです。そのためには教科書で良い奴と悪い奴をはっきり区別して描いたほうが分かりやすい。だから、人物の評価軸も「善か悪か」になってしまう。

文藝春秋9月号

 その他、さまざまなテーマから日韓の歴史認識の深淵に迫った木村教授と崔氏による対談「韓国は歴史を都合よく創作する」は、現在発売中の「文藝春秋」9月号に掲載されている。

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