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「私たちを撮ってくれませんか?」 ”AVの帝王”村西とおる事務所を訪れた禁断の親子

ドラマ「全裸監督」で描かれなかった昭和AV伝 7000字ロングインタビュー #2

source : 週刊文春デジタル

genre : エンタメ, ライフスタイル, 映画

――黒木さんと撮影したのは2本だけなんですよね。

村西 「SMぽいの好き」以上のものは撮れないし、撮ったら彼女の名前を汚すような気がしてね。この作品を撮れたことは非常に名誉なことだし、私の監督としての自信のバックグラウンドになっていますよ。

 彼女は日本の宝ですね。私にとっては、なんていうかな、神様みたいな存在です。彼女の存在が女性の性を開花させ、日本AV界の礎になり、モニュメントになりました。

©文藝春秋

――村西監督以後、日本のAVは社会にどんな影響を与えてきたと思いますか? 現代では間違った性知識を広めていると批判されることもあります。

村西 それはナンセンスですね。日本のAVは世界で稀にみるほどに色んな作品があって、様々な演出方法がありますからね。

 もちろんお下品な作品も「こんなのダメよ!」なんて作品もありますけれど、それらはあなたの性愛と私の性愛、誰一人一致しないってことを伝えているんです。性愛は道徳とか倫理で断罪できませんから。私は何度も断罪されてきていますけど(笑)。

――どういうことに興奮してもいいんだよと。

村西 もちろんでございますよ! 例えば、愛している人がいるのに、どっかのオヤジとそのままカラオケボックスでイタしちゃったと。そうしたら5年も6年も付き合ってきた男性よりも、何十倍も感じるということがあるわけです。

 性欲とはこれすなわち欲望ですから、「腹が減っているときは何を食っても美味しい」みたいな生体反応があってしかるべきなんです。その事実を知らないと、大変なことになる。かつて勝田清孝という死刑囚がいてね、ご存知ですか?

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――1972年から1983年まで窃盗や強盗殺人を繰り返した犯人ですよね。8人を殺害しています。

村西 勝田は消防士だったのですが、強姦後に女性を絞殺しているんですよ。死刑囚となって拘置所にいたこの男からね、手紙をもらったことがあります。「私は確かに殺しはしたけど、強姦じゃない」と。彼の論理はセックスをしている時、女性は腰を使ったし、濡れてもいた、そして声も出たと。だから強姦じゃないっていうんだけど。私は「それは生体反応で愛とセックスは関係がないんだ、あんたのやっていることは強姦だよ」と返事を出しました。

 愛と性は別だと、学校教育で教えるべきですね。そういう知識を持たなければ性犯罪が増える。今そういうことを教えてくれるのは、AVしかないんですよ。