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中川翔子が語るいじめ体験「毎日戦う、生き伸びる、やり過ごすのに一杯一杯だった」

SOSを出してくれた場合、大人は何よりも被害者に寄り添ってほしい

2019/08/31
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「明るい遺書」のつもりでブログを書いた

――最近のいじめはインターネットを使って行われることもありますが、一方で、ネットが居場所になる子もいます。ネットの使い方でアドバイスできることはありますか?

中川 今の時代でも、「ネットが悪い」と切り捨てる先生がいるそうですよ。この間、10代の子に聞いてびっくりしたんですけど。ただ、10代の子からすると、怖いと思うのは、ゲームの情報を知りたいだけなのに、エロ漫画の広告が出てきちゃう。あれやめてほしいんですよ。あと、大人も、めちゃめちゃ悪口を書くじゃないですか。正義感のつもりかどうかわからないですけど、こういうことをしていたら、いじめがなくならないよね。

「死ぬんじゃねーぞ!!」 いじめられている君はゼッタイ悪くない』より

 私は「明るい遺書」のつもりでブログを書いたんですけど、「呪いのブログ」にしなくてよかったと思う。実際、それで救われたので。好きとか、楽しいとか、そういう思いを込めるゲームのつもりで、ほめるだけのSNSのアカウントを作ってもいいのかもしれない。

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「ただ隣にいる人」になってほしい

――自殺対策白書(2015年)によると、1972年から2013年までの42年間で9月1日が、18歳以下の自殺者が年間でもっとも多い日とされています。

中川 夏休みを振り返ると、「やっと学校へ行かなくて済む」「やっと解放された」などと思ったんです。速攻でネットばっかりやって、昼夜逆転して、だらだら腐った日々を送りました。だけど、腐りながらも生き延びました。そして、中3のとき、「木村」という存在に出会った。

 

 私は「キモい」と言われる存在でしたが、木村はハイカーストとも話せるのに、普通に接してくれた。どうでもいいことで一緒に爆笑したり。で、昨日、やっと言ったんです(笑)。「ごめんね、照れちゃって言えなかったけど、本に書いたんだよね」って。

 木村がやってくれたことは勇気のある、勇敢な行動だと思うんですよね。「ただ隣にいる人」、それが「隣(とな)る人」。大人にもぜひ、隣ってほしい。クラスにいじめがあるなら、挨拶するでもいい、関係ない話をするでもいい。一緒に笑えることがあったら、ぜひ話しかけてほしい。隣る勇気、木村が増えたら、いいなって。

写真=橋本篤/文藝春秋

中川翔子が語るいじめ体験「毎日戦う、生き伸びる、やり過ごすのに一杯一杯だった」

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