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 瀬島氏は「韓国に対して申し訳ないことをした」とも話したが、無批判に韓国に迎合したわけでもなかった。軍国主義を批判する観点から、「軍人は一定期間政権を握ったら、民間に権力を渡すべきだ」と述べ、朴正熙・全斗煥両政権への批判も口にした。

 そして「一番良いのは経済や交易で2つの国が仲良くなることだ。韓国の発展にもつながる」とも語ったという。瀬島氏の生き様については不明な点も多いが、日韓の両指導者から厚い信頼を得ていたことは間違いないようだ。

「パイプ役になります」と息巻く人たちはいるが……

 また、この時代、韓国側には朴正熙大統領の側近だった金鍾泌元首相や、浦項総合製鉄(ポスコ)を設立した朴泰俊元首相のような日本通もいた。金鍾泌氏も朴泰俊氏も流暢な日本語を操るばかりではなく、日本の歴史や政治に深く通暁し、「まるで日本人と話しているかのような錯覚を覚えた」(町田氏)人物たちだった。

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田中角栄と語り合う金鍾泌氏(左) ©文藝春秋

 今、日韓関係を取材していると、政治家を始め、「ポリフェッサー(政治的な動きをする学者を指す造語)」と呼ばれる人やメディア関係者ら、「私が日韓のパイプ役になります」と息巻く人物があちらこちらにいる。ただ、私が聞く限り、そのほとんどは自薦の域を出ないようだ。

 天界でこうした動きを見ている瀬島氏や金氏、朴氏はきっと苦笑しているだろう。

 財界OB氏はこうも語った。「元はといえば、徴用工判決からこじれた問題で、今も日韓経済への悪影響が語られている。ひとりひとりの力は足りずとも、日韓双方の財界人が一緒になって相手国の政治指導者に改善を訴えるしかないだろう」

文藝春秋9月号

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「文藝春秋」9月号には牧野氏が「文在寅『ひきこもり大統領』の危ない戦略」と題して原稿を寄せている。