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母娘がドロ沼の裁判に……相続を「争族」にしないための処方箋とは?

国税局OBによる的確で実用的なアドバイス

2019/09/04

 にわかに相続ブームが起きている。

 2015年に相続税の課税ラインが引き下げられ、課税対象は倍増。2017年には被相続人の数は11万人を超えた。都心では地価上昇が追い打ちをかけ、世田谷、目黒、杉並区などの住宅地では、相続税の申告割合は約4割に達している。相続税の課税対象者が増えたことによって、今、メディアでは「相続対策」「税務調査対策」「不動産活用」などの指南が溢れている。

重要なのは「税対策」よりも「家族対策」

 相続税は1000万円を超えるケースも珍しくなく、資金繰りにも苦労が絶えない。そして何よりも、相続は「争族」と言われるほど、家族内の揉めごとに発展する。

申告書

 事前対策は2種類に分けて考えておかなければならない。将来の相続税の負担を軽減する「税対策」と、将来の家族の争いを避ける「家族対策」である。メディアが取り上げるのは「税対策」のほうが多いが、重要なのは「家族対策」のほうだ。

 家族とはいえ、人の心はわからない。どうしたら「家族対策」なんかできるのか。このように考える人は多いはず。しかし、事前対策をしっかりやっておけば、家族内の決定的な対立を回避し、税負担も軽減できる。

「親に財産があれば、子供たちは争うもの」

片山敏彦税理士

 大阪国税局出身の片山敏彦税理士は2つの対策の重要性を強調する。

「『税対策』のほうは検討する人が少しずつ増えてきました。一方、『家族対策』の必要性に気づいている人はまだ少ない。親が相続の話をしないのは、自分が亡くなった後に子供たちが揉めることを想像できないからです。

 しかし親に財産があれば、子供たちは争うもの。財産がある人はまだ元気なうちに子供たちと話し合うことを勧めます」