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混沌のインドで「いい写真」を撮るには?――名越啓介×丸山ゴンザレス

混沌のインドで「いい写真」を撮るには?――名越啓介×丸山ゴンザレス

名越啓介×丸山ゴンザレス対談

2019/09/15

genre : ライフ, 国際, 読書,

——おふたりの共通点といえば、TBS『クレイジージャーニー』があります。

クンブメーラの期間中(45日間)は、インド全土から1億人を超える巡礼者が集まったと報道された。

丸山 名越さんは出演して影響はありましたか?

名越 いやぁ、仕事が減ったんちゃうかな。頭がおかしい人に見えたようで(笑)。

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丸山 テレビに出ると「あいつはそっちか」って、変な圧をかけてくる奴らがいるじゃないですか。出版業界には。とりあえず1回やってみようという気持ちで受けて、2回、3回と続けて出るうちに周りが出たがり始めたんですよ。そんな状況になると、ある種の賭けに勝ったような気持ちになりましたね。

名越 自分は結局、1度きりやったから(笑)。ゴンザレスさんは出続けて、言ったらレギュラーみたいなもんじゃないですか? 顔が売れると取材するのも大変じゃないですか?

丸山 国内の取材がやり辛くなったというのはありますね。元々はビジネス書がメインの出版社で働きながら、『裏モノJAPAN』の取材を手伝ったのがキャリアの始まりなのに。明日までに昼キャバのキャバ嬢のヌード撮影してきてとか、携帯電話がよく盗まれる中国マッサージに潜入して実際に盗まれてきてとか。よくやってましたね。今はすぐに顔バレしちゃうから、海外取材に絞ってやろうと踏ん切りがつきましたね。

名越 キャリアの始まりで言うと、自分は『BURST』と『DUNE』がまずあって。そもそも大学生の頃に『BURST』に写真を持ち込んだのが写真家になるきっかけでした。

丸山 名越さんって大学は大阪でしたよね? いつ頃、上京されたんですか?

名越 最初の写真集『EXCUSE ME』が出版されたのが2006年で、そのタイミングやったかな。インドを撮り始めたのもちょうどその頃から。アパレルのカタログを撮ったり、雑誌だと『週刊プレイボーイ』や『Rolling Stone』あたりもやらせてもらいました。

丸山 『裏モノJAPAN』から始まって、俺も『実話ナックルズ』や『SPA!』なんかでよく書いてました。若干、名越さんとはおしゃれ具合が違いますけど。

名越 いやいや。どこかできっとニアミスしてますね。そもそも自分らは1977年生まれで同級生じゃないですか? 

丸山 見てきたものや、通った道は少なからず被っているとは思います。ちょっと乱暴な言い方をすると、俺寄りなのが村西とおるさんの『全裸監督』で、名越さんに通じるのが末井昭さんの『素敵なダイナマイトスキャンダル』みたいな。