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寛ぎカフェに仮眠スペース……無駄に豪華なオフィスで「社員さま」化する日本人たち

このままでは日本企業は世界から取り残される

2019/09/10
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業績が伸びていない会社の就職人気が上がっている?

 さてこうして甘やかされ、成績についても先生から忖度された大学生は企業に就職する。受け入れる側の企業はどのように思っているのだろうか。これも最近ある会合でお会いした上場企業役員の話。

「うちは昔と比べてさほど会社の業績が伸びているわけでもないのですが、就職人気が上がってきましてね。びっくりしています」

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 この企業は金融系会社の子会社。業界では中堅どころだが、会社の上層部は親会社から天下ってくるので、あまりビシバシと仕事はしない。ただ給料は比較的高く、上司たちはこの会社の事業をあまりよく理解しておらず、しかも天下りばかりなのでつつがなく定年まで働ければよいと考えている者が多いので仕事はあまり厳しくないというのが、業界内での定説だ。

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 そこで人気上昇の理由を尋ねるとその役員は苦笑交じりに語ってくれた。

「ホワイトだからですよ。新入社員が私に直接言うのです。『この会社は給料が高くて仕事が楽だから入りました』ってね。もうびっくりですよ」

怒らず、ノルマを課さず、残業もさせないホワイト企業

 この企業ではとにかく社員に対して怒ってはいけない、ノルマを課してはいけない、残業もさせてはいけないのだそうだ。役員の大半が親会社からの天下りなので、プロパーで入社する社員のほとんどは一定以上の出世の可能性は少ないものの、就職ランキングでは人気なのだという。

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 パーソル総合研究所が最近、興味深い調査結果を発表した。この調査は日本を含むアジア太平洋地域14の国における就業実態、成長意識についてインターネット調査を行ったものだが、その結果、国際比較において日本の特異な就業意識が浮き彫りになったという。

 高い給料をもらって働きたいという意識は対象となった14か国でほぼ一致した見解であることは至極当然のことだが、それ以外の質問項目で日本は他の国々では想像できないほどの偏った就業概念があったのだ。