『ミラクル9』『今夜はナゾトレ』などのクイズ番組を担当する構成作家・矢野了平さん。クイズプレーヤーとして、学生時代には『高校生クイズ』に出場し、『アタック25』などの番組やクイズ大会では優勝経験を持つクイズ王でもあります。そんな矢野さんの手掛ける番組は一口に「クイズ番組」とは言い表せない『99人の壁』や『水曜日のダウンタウン』のようなバラエティ番組も。異色の肩書を持つ矢野さんに「放送作家から見たクイズ番組」、「クイズ王・構成作家」の誕生秘話をお聞きします。

 

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『パネルクイズアタック25』で優勝した「クイズ王」で「構成作家」

――「構成作家から見たクイズ番組」というテーマでお話をお聞きしたいと思うんですが、矢野さんは構成作家でありクイズ作家であり、「クイズ王」です。

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矢野 もともとはクイズとの付き合いは、プレーヤーからです。

――大学生の時に『パネルクイズアタック25』でも優勝されています。優勝したらヨーロッパ旅行とか行けるんですよね?

矢野 時代によって行き先は変わっています。僕が出た時は獲得パネル1枚つき1万円の賞金と、最後のフィルムクイズに正解したらフロリダディズニークルーズの旅でした。だけど、それは外しちゃったんですよね。

――『アタック25』は出演チャンス1回だけなんですか?

矢野 そうではないんですけど、1度スタジオ収録まで行くと成績が良くても悪くても5年間出られないルールがあるんです。……悔しい!(笑)

「早押し問題です。次のイントロを聴いてお答えください……」

――そんな矢野さんが構成を担当されているクイズ番組は少し変わっていますよね。『99人の壁』は各ジャンルに精通したマニアックな挑戦者と出されるクイズが斬新です。

矢野 『99人の壁』が他のクイズ番組と決定的に違うのがとにかく“一つのことへの愛情がすごい人たち”が挑戦者として登場するところなんです。例えば「フライドポテトが大好きで大好きで、その愛を伝えたくてやってきました」みたいな。参加者の熱が『99人の壁』の最大の魅力だと思っています。

――その中でも印象に残っているジャンルはありますか?

矢野 個人的に良い問題を出せた! と印象的なのは、ジャンル「略語」ですね。

――どんな問題でしょう?

矢野 「早押し問題です。次のイントロを聴いてお答えください……というときの『イントロ』とは何という言葉の略?」という問題です。

――思わず音楽を待ってしまいますね。

矢野 はい。全員反射的に構えるんですよ。でも「『イントロ』とは何という言葉の略でしょう」というあくまで「略語」を問うクイズ。この問題は僕が中学の頃から大ファンで、当日の観覧ゲストにいらしていた伊集院光さんに「自分のクイズ史の5本の指に入る問題だった」と褒めていただいて。めちゃくちゃ嬉しかったなあ(笑)。ちなみに答えは、「イントロダクション」です。

「発表後にどれだけ新元号を知らずに過ごせるか」から始まった企画

――クイズ番組以外では『水曜日のダウンタウン』も担当されています。

矢野 『クイズ☆タレント名鑑』からご一緒しているTBSの藤井健太郎さんは番組内でクイズを行う時に、クイズの部分にしっかりとこだわる方なんです。そこが中途半端だとバラエティとしても面白くなくなってしまう。『水曜日のダウンタウン』でもクイズ企画のときは既存のクイズ番組以上にルールや問題を練ることがあります。

――芸人コンビ・ななまがりが挑戦した『新元号当てるまで脱出できない生活』も話題でした。

矢野 たまたま僕が「発表後にどれだけ新元号を知らずに過ごせるか」という思いつきを話したところから、会議で話し合い「元号発表の前日に突然隔離された2人が新元号を当てるまで部屋から出られない」という形に落ち着きました。当時よく予想に挙がっていた安心の「安」が採用されていたら早めに正解できてしまって、5日間、100時間目にして「令和」にたどりつくという、ドラマのような展開にはならなかったと思います(笑)。あの企画はクイズマニアや謎解きマニアの方々からも「挑戦してみたかった」という声が多かったです。

過去には「リアル脱出ゲームTV」というドラマで、劇中に登場する暗号やクイズを担当することも

――他にも『水曜日のダウンタウン』では、映画『スラムドッグ$ミリオネア』をベースとした『リアル・スラムドッグ$ミリオネア』の問題作りもされているとか?

矢野 そうですね。あれは1週間で起こったことがそのままクイズになる形だったんですが、特に第1弾に参加いただいたノブさん(千鳥)、矢口真里さん、小宮浩信さん(三四郎)を見て驚いたのはすごく記憶力が良いこと。もっと苦戦するかと思ったのに驚くほど正解率が高かったですね。解答者が出題者の予想を裏切ることはクイズ番組でもよくあります。