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「体育倉庫のマットの上で“処理”させられて……」教師によるスクールセクハラ被害者たちが声をあげた!――文藝春秋特選記事

性によって子どもを支配し、「教育」と正当化する教師を許すな

2019/09/08
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 所属していた部活動は強豪で、顧問は絶対的存在。男性との交際経験も性経験もなかった小野さんは「部員としての義務、練習の一環だ」と考え、行為の最中は頭と体の感覚を切り離してやり過ごした。たびたび現場となったマットのそばには窓があり、顧問に「民家から見られたら通報される、伏せろ」と指示されてはレイプされた。卒業とともに接触は止んだ。「次のターゲットの子が出てきていたと感じます」と小野さんは語る。

 被害を明確に自覚した時には35歳になっていた。心療内科でPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された。一方の顧問は、定年退職まで勤め上げ、今も子どもたちに関わる立場にある。

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加害側には「指導に熱心な先生」と評判の教師も多い

 スクールセクハラの背景には、「指導し評価する者」と「教え子」という力関係がある。加害側は小児性愛者などがわいせつ目的で教師になったと推測されるケースもあるが、妻子がいて「指導に熱心な先生」と評判の教師も多い。その中には性によって子どもを支配し、それを「教育」であるかのように都合よく正当化するような教師さえいる。

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「これは普通の行為で別に悪いことじゃないと君に繰り返し教えた」

「普通だから大丈夫や」

「絶対良くなるから、君のためだよ」

 これらは加害教師たちが被害者に教え諭すようにかけた言葉だ。「全く罪の意識がない」と後に悟ったという被害者がいたが、こうした教師を野放しにしておけば悲劇は繰り返されるばかりだろう。

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スクールセクハラという性的虐待

「文藝春秋」9月号では、「スクールセクハラ『犠牲者』たちの告発」と題し、被害に遭った20~50代の男女5人の証言とともに、全国どこでも似通った事案が起こり続けているというスクールセクハラの特徴やその影響などを詳報している。

 スクールセクハラという語は、被害に遭った子どもが自分のされたことをどう言葉にしたらいいかわからない場合でも言い出しやすいようにと、被害者支援の目線で90年代から使われてきた。ただ、加害行為を見れば、その実態は教師による性的虐待だ。

文藝春秋9月号

 冒頭の田村さんは、自身の実感も込めて「どの子にも起こりうるし、どの学校でもありうること」だと語った。こういう問題があること、子どもを守るためにはどうしたらいいかを、彼女たちの告発から考えてもらえればと願う。

「体育倉庫のマットの上で“処理”させられて……」教師によるスクールセクハラ被害者たちが声をあげた!――文藝春秋特選記事

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