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片付けの途中で見つけたものとは?

 で、片付けを始めてみると、娘さんが描いた自画像や、アンパンマンのおもちゃなんかが大切にとってあったんです。柱には、身長がこれだけ伸びたよ、というのを記録する線もはっきり残っていて。あぁ、やっぱり娘さんのことを思いながら生きていたんだな、と思っていたら、一方で衝撃的なものも見つけてしまいます。……大量のエロ本です。

©文藝春秋

 男性が寝ていた部屋には何冊もエロ本が置いてあって、ああ、これに囲まれながら寝起きしていたのか……と。娘さんもちょっとショックだったかもしれません。

布団を敷いて“孤独死の部屋”に宿泊

 実はその後、僕は娘さんの服を着て、その部屋に一晩泊まってみたんです。娘さんの格好をすれば、亡くなったお父さんと会話できるんじゃないかな、と。お父さんが寝ていた部屋に布団を敷いて、真っ暗な部屋で「娘さんかわいいですね」とか語りかけてみたんですが、当然反応はなく、何も起きません。

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 ただ、「娘さんにお父さんが集めていたエッチな本見られて、どんな気分ですか?」と聞くと、突然台所の方からカン!と大きな音が聞こえたんです。「それ以上言うな!」みたいな。あ、まだお父さんいるな、と、そんな風に思いました。

男性が孤独死した部屋に宿泊

 以上で僕からの話は終わりです。事故物件に関わったこの数年間で感じているのは、たとえば人が亡くなったときに、ただ悲しんでいるだけよりも、こうやって不思議なことが起きたり、不謹慎だけど笑えることが起きたほうが、なんかワクワクするし、良かったなと思えることが多いんじゃないかな、というところでして。