神技そのものの結末に震撼します
一、三塁にランナーを置き、絶好の得点のチャンスで内角の変化球を捌きそこねて豪快に引っ掛け、吸い込まれるようなショート正面のゴロを放ち、神々しい6-4-3を完成させ、最後は「あー」とのけぞりながら一塁キャンバスを駆け抜ける初芝さんからオリオンズのヘルメットが落ちる場面は「これぞパ・リーグの野球」と思わせるだけの究極の美が余すところなく表現されていました。まさに現代アート、幕張トリエンナーレであります。
しかし、ロッテ本拠地では「あーあ」という嘆息でも「働け」という野次でもなく、当時まだ少なかったお客さんの爆笑が球場内を湧かせるという、素敵な、優しい世界でありました。
常連もまた、ロッテの精神が息づく川崎球場外野席での流しそうめんや麻雀、並んだ3人だけでウェーブ、サラリーマンがラジオ体操など、思い思いのパフォーマンスで初芝さんの全力プレーに応えていきます。本当に、パ・リーグにとって最高の時代でした。20年以上も前の出来事なのに、野球を愛する者の脳裏に焼き付いて離れない、神技そのものの結末に震撼します。
ZOZOの期待にヤフーも力強く態度で示すわけであります
さらには、置物として三塁ランナーにいる初芝さんが高沢秀昭の放つ深めのセンターフライを見て腹を揺らしながらなぜかゆっくりとタッチアップ、猛然とバックホームする佐々木誠の強肩の前にホームかなり手前で吉田博之にタッチアウト。呆然とするロッテベンチ内で口を開けたままにしている山本功児監督が千葉テレビの中継で大写しにされるなど、見たかメジャーよ、これがロッテの野球だと力強く態度で示すわけであります。
さらには、左中間に放った大きい二塁打を見ながら二塁キャンバスに到達し、ベンチに打ったぞアピールしたところ、西武のショート奈良原浩が振り返りざま初芝さんをセカンドと見間違って送球し初芝さんのお尻を直撃して悶絶したり、上がった三塁ファールフライを初芝さんがヨタヨタしながら捕球しにいくもボールごと敵軍南海ベンチに落ちたり(結局落球して記録はファール)、ウェイティングサークルで素振りをしているところにボーリックの打球が初芝さんの太ももを直撃して放送用マイクに向かって「痛え!!」と絶叫しCS放送でめちゃめちゃ音声を拾われるなどの神のプレイを頻発。