1ページ目から読む
4/4ページ目

見事な金髪に染められるという珍事も

 ZOZO的なものをより強くしていくにあたって、初芝さんはシーズン開始前に床屋から「ブリーチどうですか」と薦められ、ブリーチがなんなのか分からず言われるままにしたところ、見事な金髪に染められるという珍事を忘れてはなりません。帰宅後娘さんは号泣して逃げ惑い、有藤通世には激ギレされていました。さらには、CSの秋季キャンプ情報で登場した初芝さんの首にはなぜかホテルから盗んできたと思われるロゴの入ったハンドタオルがかかっているなど、細かい芸をおろそかにしない行き届いた服装やアイテムへのこだわりが必要だと思うんです。

 それでも、千葉ロッテの空気の読まなさという点では初芝清さんの「相手の胴上げがかかっている試合での猛烈な勝負強さ」は特筆すべき点であり、優勝のかかった福岡ダイエーホークスを千葉マリンに迎えての2連戦で初芝さんは打ちまくり、2戦ともロッテを完勝に導きお立ち台に上がるという「普段から打っておけ」と思わないでもない活躍を成し遂げます。このあたりは本稿では語り尽くせない部分でもありますので、時期を見て、ゆっくりと解説記事を書きたいと思います。

福岡ソフトバンクホークスが本拠地としているヤフオクドーム ©iStock.com

ファンタジスタ担当執行役員として招聘を

 現在はセガサミーの監督としても活躍する初芝清さんは、去年も西武の中継ぎ復活を目指して森脇亮介を西武ライオンズにドラフト6位で送り込み、現在29試合に登板して31イニング、20四球、防御率4.94という実に微妙な成績を残しています。もちろん、1年目から充分に戦力となって活躍している森脇亮介も素晴らしいですが、もう一皮剥けて、もう一歩で私たちの愛する大沼幸二にも近い素敵な成績に化けていってくれるのではないか、パ・リーグの伝統を担う次世代の俺達西武の中継ぎ陣に成長してくれるかもしれないと高く期待されるところでもあります。

ADVERTISEMENT

 やはり、愛されるロッテ野球、初芝的なるものとは、普段は打って併殺打、投げて暴投、やらかしも与四球も多いけど、相手の優勝がかかった試合などここぞというところで大爆発するのが大事だと思うんですよ。近鉄の優勝がかかったダブルヘッダーにロッテ園川一美が先発で出てきて「これは近鉄勝ったろう」と思わせておいて園川に7回好投されて優勝を逃す的な、分かっちゃいるけど大番狂わせの素材として、予定調和ブレイカーとしてのロッテ的な姿です。だから、パ・リーグは面白い。大松尚逸がヒーローインタビューでアナウンサーから「今日は家族来てるんですか?」と訊かれて「もう帰りました」と答える真のパ・リーガーの有り様こそ、いまの閉塞感溢れる日本経済の突破口として追うべき背中だと思うんです。

 このような千葉ロッテ感が最強に強まったZOZOを買収したヤフージャパンは一刻も早く初芝清さんをファンタジスタ担当執行役員として招聘し、未来に向けて不思議な扉を開く責任者として大きく羽ばたいていっていただきたいと願っています。

 現場からは以上です。

INFORMATION

 ついにこの日が来てしまった……。文春オンラインの謎連載、特にタイトルがあるわけでもない山本一郎の痛快ビジネス記事が待望の単行本化! 現在、Kindle Unlimitedでも読めます。

2019年5月15日発売!!

 その名も『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』。結婚し、出産に感動するのもつかの間、エクストリーム育児と父父母母介護の修羅を生き抜く著者が贈る、珠玉の特選記事集。どうかご期待ください。