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中洲で働く親の子ども専門の保育園

 マミーハウスは、中洲で働く親の子どもを専門に預かる。開園時間は午後2時から朝5時。20人の保護者のうち、クラブやキャバクラで働くホステスは18人、ほとんどがシングルマザーだ。

 親子は、5時台から6時過ぎにかけて、ベビーカーや自転車でポツリポツリとやってくる。

深夜4時過ぎ、お迎えにきたおかあさん 

 園長の草野真由美さん(52)は、高級クラブ「エリカ」の経営者だ。2人の子どもの母としてクラブ経営者として、中洲で働く女性の実情を知り尽くしている。クラブ経営の傍ら、ホステスの子育てを支えるためにマミーハウスを開園したのは4年前だ。

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「小さな子どものいるホステスは、400人はくだりません。夜、働いている親の子どもの保育状況を調べれば、夜の待機児童数はかなりの数に上るはずです」

自分の出産がきっかけだった

 草野さんは言う。

 きっかけは20年近く前にさかのぼる。自身が長女を出産し、預け先を探してベビーホテルを見学に訪れたときに見た光景が、草野さんの心を深く揺さぶった。

 そこでは、小さな子どもたちが何をするわけでもなく何人もその場に寄せ集められていた。ぼんやりと佇んでいる子、近くにいる子に手をあげて泣かせる子、大人に抱かれることなくただ泣きじゃくる子。

 心が満たされず寂しい思いをしている子どもたちの姿を見た草野さんは自身の子ども時代がフラッシュバックするように思い出された。

「女の子の姿を見て、自分の小さなころの記憶が蘇って胸が苦しくなりました。

 わたしも大人にかまってもらえなくてさびしかった。わたしみたいな思いを小さな子どもたちには味わってほしくないと思いました」