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経営するのはクラブママ。日本初「水商売」のシングルマザーを支える夜間保育園の実態

『真夜中の陽だまり ルポ・夜間保育園』 前編「マミーハウス」

2019/09/30

13人の子どもたちに6人の保育士

 この日、保育士は全部で6人。認可保育園では、1歳から2歳の子どもの保育に際して保育士1人に対し、子どもの人数は6人が基準である。この日登園していた13人の子どもたちには十分すぎるほど手厚い。認可保育園でもここまでできるだろうか、と思うくらいに充実した保育だ。

 月額保育料は3万円ほど。周辺にある認可外のベビーホテルに比べてかなり割安だ。加えて保育士の資格を持った職員が、正規雇用とパート勤務を合わせると、8人。

 質の高い保育なのに安いのは、マミーハウスが企業主導型保育事業制度を利用した保育施設だからだ。国からの補助金によって、保育士を雇用するための人件費を確保している。

中洲では深夜まで花屋が営業している 

 企業主導型保育施設をつくる際、運営者は利用者の半数を企業の従業員にすることを条件づけられている。だが、これは複数の企業から集めるのでもかまわないとされている。草野さんは、この点に着目した。利用する保護者のうち、企業経営の飲食店の従業員が半数を超えていれば、制度利用が可能なのである。

「公的な補助を受けられているから、こうして保育士を雇用できますし、モンテッソーリ教育の研修に派遣することもできます。子どもに関わる職員の育成がいちばん大切ですから」

園長の草野真由美さん 

 翌日の夜8時、中洲大通りのクラブ「エリカ」では、若手経営者のような一団がくつろぎ、華やかに着飾ったホステスたちが会話を盛り上げていた。

「場所、すぐにわかりましたか?」

 草野さんがにこやかに出迎えてくれた。品よく着つけた着物姿が美しい。マミーハウスで子どもたちを見守っていたエプロン姿とはまるで別人である。