「夜、親のいない子どもたち」のための型破りな保育園を追ったルポ『真夜中の陽だまり ルポ・夜間保育園』が刊行された。前編で取り上げた“マミーハウス”をロールモデルに12月の開園を待つ保育園「どろんこの星」が出来るまで。

子どもたちが安心して眠れる居場所 社会福祉法人・四季の会 どろんこ保育園提供

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保育士がいないケースもある認可外のベビーホテル

 博多川を渡って川端商店街のアーケードを櫛田神社に向かう路地に入ると、竣工間近な3階建ての細長い建物が見えた。建物の名前は「どろんこの星」。中洲で働くホステスの子どもたちを預かる保育施設として12月の開園を控えて準備に追われている。

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 中洲の周辺に保育施設がないわけではない。徒歩10分圏内に24時間保育のベビーホテルを何軒も見つけることができる。一般にクラブやキャバクラ、風俗で働く母親たちは、こうした認可外のベビーホテルに子どもを預けている。

「どろんこの星」は企業主導型保育事業の制度を利用した企業主導型保育施設だ。

 前編で紹介した「マミーハウス」がロールモデルである。

 保育施設にとって、保育を専門的に学んだ保育士は、死亡事故の危険性を避け、子どもにとって質のよい保育を行うために欠かせない人材だ。だが、ベビーホテルは補助金がないため、保育士の雇用に十分な人件費の確保は難しい。保育士を配置せずに運営している園は珍しくない。

「どろんこの星」は、「保育士確保」の壁を、企業主導型保育事業制度によって突破しようとしている。