15年前にはすでに分かっていた晩婚化・未婚化
私たち人間は生物ですから、その存在の一丁目一番地はなるだけ自分たちの子孫を残すためにどう生存戦略を達成するかという話になるわけでして、いまの社会においては「少ない子どもを産み、しっかりと育てて社会で生き抜けるスキルを与え、長生きしてもらう」という作戦を取る「合理的な現代日本人」が多くなったってことじゃないかと思うんですよね。あるいは、子どもは要らないという選択が社会的に容認されるようになったり、逆に結婚したくてもできない男女が「おひとりさま」として受容されるようになったということでもあります。
実のところ、内閣府が策定した2004年(平成16年)の少子化社会白書では、もろに「晩婚化・未婚化の進展」が少子化の原因であると原因を究明しています。15年前にはすでに分かっていたわけですねえ。分かっていたのに対策が打てなかったんですよね。
なぜ少子化が進行しているのか(平成16年版 少子化社会白書より)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2004/pdf_h/pdf/g1020110.pdf
カネが理由で結婚しないなんてありえなかった時代
で、よく結婚においては「カネがないので結婚ができない」ので「カネまわりの悪い、若者にカネのない社会がいけない」と、政府の経済政策における失政が責任だ、と批判することもまた多いわけなんですけど、少子高齢化の白書を見ていると経済的な要因が理由で結婚できないと回答する人は男性25%、女性15%ぐらいで、それよりも圧倒的に「結婚したいと思えるような、適当な相手と巡り合えない」ことが理由になっています。
子どもが増えた1960年代や1970年代は、まだまだみんな貧しかったけど、結婚して子どもを産むのが当たり前の時代だったから、カネが理由で結婚しないなんてありえなかったんですよね。逆に、日本が再び人口を増やそうとなれば、貧しくても子どもを産むという社会風土にしないと絶対に無理じゃないかと思うんですよ。そして、日本の場合は特に結婚しないと出生が増えないという社会条件が加わり、婚外子やシングルマザーには厳しいところがあるので、家族の形態はともかく子どもは産んでねという政策にはなかなかならないのが難点でもあります。