文春オンライン

子どもの「いる人」と「いない人」の分断を起こさないために

年間出生数「90万人割れ」の衝撃と受け止め方

2019/10/11
note

 2019年の出生数が、ついに年間90万人を割りそうだ、というニュースが入ってきました。

 素直にヤバいことだと思います。

出生数90万人割れへ 19年、推計より2年早く:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50672490W9A001C1MM8000/

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毎年100万人都市がまるまる1個なくなる人口減少

 ベビーブームだった世代が45歳を概ね越え、今後は転がり落ちるように日本の出生数は減っていってしまうのではないか、と危惧されます。子どもはお母さんから生まれる以上は、出産適齢期の女性の人口がこれから減少する限りは、人口が均衡するとされる出生率2.07程度をキープしても、もはや日本人は減っていくモードに入ったことになります。

©iStock.com

 さらにマズいことに、今後は2060年ごろまで毎年100万人都市がまるまる1個なくなるような人口減少に日本は見舞われます。子どもの数が増えないのですから、基本的に日本国内の市場は縮小し、需要が減る限りはモノやサービスの価値が低下してデフレは止まらないのは確定と思っていいんじゃないでしょうか。これでモノの値段が上がるとしたら、税金が上がるか、財政破綻して日本円の価値が崩落して物価が暴騰するときぐらいしかあり得ないわけでして、ほんとこれどうしようもねえよな、と思います。

政府から「産んでください」と言われても

 それまで日本政府は何故こんなに無策だったのか、と批判する向きもあるわけですけれども、実際には少子高齢化が予見されて問題視された1994年には「エンゼルプラン」が、さらに少子化が進んでヤバいってことで、1999年には「新・エンゼルプラン」が策定されました。まあ、政府も「少子化はやべえだろ」ということで、何かせんといかんという風には考えていたと思うんですよね。

 でも実際には、少子化担当大臣は内閣府特命担当大臣という、いわゆる「掛け持ちポスト」の扱いになっていて、社会保障の予算としても伝統的に高齢者対策に比べて端パイぐらいのお金しかかけられませんでした。そうなると、政府が悪い、財務省が悪い、失政だと言いたくなる人たちも多いのかもしれませんが、実際問題として、子どもって政府から「産んでください」と言われて「ハイ、そうですか」と産むものなのかと思うわけですね。