『5Gビジネス』(亀井卓也 著)

 ついに実装へと動き出した「5G」(第5世代移動通信システム。現行のスマートフォンのシステムは「4G」)。モバイル回線が今よりも高速になるだけでは? という思い込みは、本書を読めば一発で解消される。車の自動運転、端末の遠隔操作による医療や介護、AIと連動した工場の効率的な生産管理などなど……5Gで可能になるかもしれないビジネスのビジョンを、技術的な諸問題や関連企業の動向も押さえ、網羅的にまとめた本だ。

「日経文庫のIoTやAI、仮想通貨などのテクノロジーを解説したシリーズは以前から好評で、その流れで本書も企画しました。4Gで不便を感じていない人が多いのに、なぜシステムをアップグレードする必要があるのか。単に通信規格の問題ではなく、ビジネスや生活の変化に繋がる点が興味深く、広い読者を獲得できると思ったんです」(担当編集者の赤木裕介さん)

 高速回線に常時接続されることで、たとえばレジを通さずとも、店から持ち出した瞬間に商品が自動決済されるといった便利な仕組みが生まれる。一方、日々蓄積される膨大な個人情報のセキュリティをどうするかなど、新たな問題点も。

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「リスク面も含め、5Gの具体的な利用法の解説書は、本書以外に未だほぼありません。内容もですが、タイミングの良さも読者に響いたと思います」(赤木さん)

2019年6月発売。初版1万1000部。現在11刷6万5000部

5Gビジネス (日経文庫)

亀井 卓也

日本経済新聞出版社

2019年6月15日 発売