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特集移動編集部

携帯の電波は入らない、猿がお湯を舐めにくる……それでも浸かりたい“エクストリーム温泉”

携帯の電波は入らない、猿がお湯を舐めにくる……それでも浸かりたい“エクストリーム温泉”

白山麓の“エクストリーム温泉”その2

note

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 紅葉で知られる「白山白川郷ホワイトロード」は、実は滝の名所でもある。名前がついている、大きな滝だけを数えても7つ。ほかにも、雨が降った後にだけ出現する滝は無数にあるという。

「わたしはそういうのを、“幻の滝”って勝手に呼んでるんですよ(笑)。中には名前の付いた滝に負けない大きな滝、きれいな滝もあります」

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 そう語るのは白山林道石川管理事務所・所長の平田昭生さん。白山麓の森のプロだ。

白山林道石川管理事務所・所長の平田昭生さん

 今日は平田さんに、ホワイトロード内にある、とある温泉に案内いただくことになっている。その温泉とはずばり、「日本の滝百選」にも選ばれた姥ヶ滝を目前に入浴できる、「親谷の湯」。「親谷の湯」の先には、1メートル近くの大きさの噴泉塔が立っているという。

 平田さんに連れられ、「ホワイトロード」内を車で15分。途中、深いV字谷にかかる蛇谷(じゃだに)大橋を通り過ぎる。この時点で、すでに携帯の電波の入り具合が怪しい。

ホワイトロード内にある「蛇谷大橋」
ホワイトロード内の景色

 しばらくすると、「親谷の湯」の入り口が見えてきた。「熊・マムシ注意」などと、おどろおどろしい注意が書かれた看板が目に入る。もう携帯の電波はまったく入らなくなってしまった。

「親谷の湯」入り口

「ここから徒歩で20分くらいかかりますけど、いいですか?」(平田さん)

 もちろんうなずく。

川底まで70メートル降りる

 始めの10分は、とにかく階段をくだる。入り口の標高は782メートル。そこから温泉が湧く蛇谷川の川底まで、約70メートル降りなければならない。

「親谷の湯」入り口付近