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特集移動編集部

携帯の電波は入らない、猿がお湯を舐めにくる……それでも浸かりたい“エクストリーム温泉”

携帯の電波は入らない、猿がお湯を舐めにくる……それでも浸かりたい“エクストリーム温泉”

白山麓の“エクストリーム温泉”その2

note

 しばらくすると蛇谷園地にたどりつき、視界が少しひらけた。園地の周囲を、立派な木々が囲む。

「親谷の湯」への中間地点。ブナやミズナラの原生林を見ることができる

「ここはブナやミズナラの原生林なんですよ。熊や猿にとってブナやミズナラのどんぐりは重要な食糧、命の源。今年はブナが凶作だから、秋にお腹をすかせた熊が里に降りてこなければいいんだけどなあ……」(平田さん)

 白山麓の人々を悩ませる、獣害の話がこんなところでも出てくる。

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豊作だった昨年のブナの実の殻(クリでいうイガ)が残っている

“蛇谷ブルー”の秘密

 園地からは蛇谷川沿いに整備された遊歩道を歩く。

 

 蛇谷川の水は透き通ったブルー。のぞきこむと川底の石がはっきり見える。

蛇谷川の川底

「水が冷たくて流れが速いから、藻がつかないんですよね。だから、こんなに透明なんです。

 高知県の仁淀川(によどがわ)の、仁淀ブルーってあるじゃないですか。それを真似して、蛇谷川の川の色を“蛇谷ブルー”って呼んでるんです、ははは(笑)」(平田さん)

 どうやら平田さんは森のプロであるだけでなく、名付けのプロでもあるらしい。