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しばらくすると蛇谷園地にたどりつき、視界が少しひらけた。園地の周囲を、立派な木々が囲む。
「ここはブナやミズナラの原生林なんですよ。熊や猿にとってブナやミズナラのどんぐりは重要な食糧、命の源。今年はブナが凶作だから、秋にお腹をすかせた熊が里に降りてこなければいいんだけどなあ……」(平田さん)
白山麓の人々を悩ませる、獣害の話がこんなところでも出てくる。
“蛇谷ブルー”の秘密
園地からは蛇谷川沿いに整備された遊歩道を歩く。
蛇谷川の水は透き通ったブルー。のぞきこむと川底の石がはっきり見える。
「水が冷たくて流れが速いから、藻がつかないんですよね。だから、こんなに透明なんです。
高知県の仁淀川(によどがわ)の、仁淀ブルーってあるじゃないですか。それを真似して、蛇谷川の川の色を“蛇谷ブルー”って呼んでるんです、ははは(笑)」(平田さん)
どうやら平田さんは森のプロであるだけでなく、名付けのプロでもあるらしい。