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子どもや若者に多い「過呼吸は連鎖する」
若い年代の過呼吸は、周囲に連鎖することがある。先に触れた板橋の中学校の事例がまさにそれだ。
一人が何らかの要因で過呼吸状態に陥ると、その苦しんでいる姿を見た周囲の人たちも強い不安を覚え、呼吸が浅くなって過呼吸に至るのだ。“過呼吸が集団に連鎖する”という現象は、子どもや若者に多い。その理由を大谷医師は「心がピュアだから」と説明する。
「年齢を重ねて色々な経験を積むにしたがって“驚く”とか“共感する”という能力が低下していくと、連鎖もしなくなっていくようです」
「最悪の場合に死に至る」ペーパーバッグ法は推奨されていない
過呼吸状態が続くと体内の二酸化炭素量が低下し、体の電解質のバランスが崩れてさらに苦しくなる。手足にしびれが起きたり、手が固まって動かなくなることもある。
そのため、以前は紙袋で口と鼻を覆い、吐いた二酸化炭素をまた吸い込むことで低下した二酸化炭素量を高める「ペーパーバッグ法」が行われていたが、現在は推奨されていない。
「この方法では血液中の酸素濃度が低くなりすぎたり、二酸化炭素濃度が過度に上昇したりする危険性があります。心不全や肺塞栓など、本当に呼吸困難を引き起こす病気がある人がこれを行うと、最悪の場合死に至る危険性があるのです」
大谷医師によると、他にも心筋梗塞、喘息発作、肺炎、肺水腫などの基礎疾患がある人が、病態悪化によって過呼吸になることはあるという。そんな時にペーパーバッグ法を行うのは危険なので、過呼吸状態で救急搬送された人は、まずこれらの病気がないかどうかを調べて、すべてが否定されたら安定剤などを使って落ち着かせる処置が取られることが多い。