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そもそもSLはどうやって動く?

 と、ここで簡単にSLの動く仕組みについて。巨大な蒸気機関車は電車などと比べると複雑な構造をしているように見えるが、「理屈的にはシンプル」と眞壁さんは言う。火室に石炭をくべて火を燃やして水を沸かして蒸気を作り、その蒸気をシリンダーに送って動輪を動かす――。火が燃える火室の中は1500℃を超える。機関室の中も真夏には60℃くらいになるという。「真夏の35℃も涼しく感じる」という。さらにSLは仕組みはシンプルであっても「奥が深くて難しいことだらけ」(眞壁さん)。

3人のうちの1人が石炭をくべる

 

「蒸気機関車は毎日違うんです。いつも同じようにやれば同じように動く、というわけではなくて。温度や湿度によっても変わるし、お客さまの多い少ないによっても変わる。あとは、機関車そのものの調子ですかね。だからSLは五感で運転する、と言うんです。音を聞きながら調子をうかがって、その日その日にあわせて対応しながら動かしていく感じです」

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「鉄の馬」とはよく言ったものです

 現在、SL大樹はJR四国から譲渡された客車を使用しているが、今年の春からかつてJR北海道の急行「はまなす」として活躍していたドリームカーを連結することもある。そのときにはまたSLの運転にも微妙な変化が出るという。同じ日は二度とない、まさに生き物を操るのと同じような感覚なのだ。

「SL大樹」が使用する客車「ドリームカー」。レトロな雰囲気が漂う

「鉄の馬、とはよく言ったものですよね。ハンドルにしても電車だとせいぜい2つしかないですが、SLだとかなりたくさんありますから。簡単に言うと、まずはアクセルになる加減弁ハンドル。これでシリンダーに送る蒸気の量を調整するんです。で、逆転機がクルマのギアのようなもので、これで速度調整をします。停まるときにはブレーキを掛けますが、これも2種類のハンドルがあります」

 ブレーキは、機関車だけにブレーキが掛かる単独ブレーキと客車を含めた列車全体に掛かる自動ブレーキの2種類。さらにこれを組み合わせて微妙な速度調整を行っているのだという。

運転台を後ろから見ると……様々なハンドルがあることが分かる