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ヤフーはこうして読売、日経、朝日の包囲網を破った

分水嶺となった2000年代半ば「あらたにす」の戦い

2019/10/25

「ポータルからディスティネーションまで」は確かに素晴らしいアイデアだ。それがヤフーをここまで、大きくした。しかし、それは契約社とのエコシステムを壊すことにもなったのではないか? ヤフーだけが、金を儲けている、そう媒体社が感じるだけで、47NEWS や、今度の読売、朝日、日経の共同サイトのようなアイデアが向う側に生まれてくる。

 媒体社とヤフーが一緒に伸びるシステムをいれる必要があるのではないか? 

宮坂学氏 ©文藝春秋

 ユーザーが最初に読むニュースはヤフーのドメイン内でいいだろう。が、ユーザーが見出しを踏んだ記事の関連記事を、その記事を書いた社の関連記事でうめたらどうだろう。しかも、それは直接リンクを張って、見出しを踏めばその社のドメインに行ってユーザーは記事が読めるようにする。

 こうすれば、ヤフーに記事を出すことで、その記事を読んだ客がその社のページに帰ってくることになる。そうすれば、記事を提供している社も喜ぶのではないか?

 ついでに広告も一緒にその社に送るようにしよう。当時ヤフーへの広告は、掲載しきれないほどの申し込みがあった。この広告も一緒に飛ばして、広告料金は折半する。

 このやりかたは「トラフィック・バック」と呼ばれるようになる。

 個別には、ハイパーリンクを使って客を戻す施策は「ヤフー・メディア・ネットワーク」。広告もそのメディア・ネット・ワークを使ってニュース提供者に配信する施策は「ヤフー・アドネットワーク」。

「トラフィック・バック」を使った「メディア・ネットワーク」、「アド・ネットワーク」は共同通信が47NEWSを始める2006年末を狙って始められることになる。

「あらたにす」敗れたり

 朝日、日経、読売の共同ポータルサイトは「あらたにす」という名前で2008年1月31日にスタートするが、読売が結局ヤフーから抜けられなかったために、蛇口がしまらず、PV数も低迷した。そのうちに日経が有料電子版を始めたことで、「あらたにす」に日経が提供できる記事がなくなってしまったこともあいまって、2012年2月29日にその短い寿命を終えることになる。

 こうして、新聞社独自のポータルサイトを持つという山口の夢はついえて、ヤフー一強の時代がやってくることになるのである。

2050年のメディア

下山 進

文藝春秋

2019年10月25日 発売

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