「オフの少年野球でもダラダラできない」
――長年特別儀仗隊として活躍されていると、職業病のようなものもあるかと思います。何か思いつくものはありますか。
「どうしても動きがキビキビしちゃいますよね。オフに少年野球のコーチをしているのですが、お母さんお父さん方は私が自衛官だとわかっているから、ダラダラしたところは見せられない。街を歩いていてもショーウインドウに映った自分を見て姿勢をチェックしてしまったり(笑)。家の中だけですね、本当にリラックスするのは。家の中と家の外でぜんぜん違うと思いますよ。だから家族は私が外でどうなのかはわからないかもしれない。トランプ大統領が来日したときの儀仗をテレビでやっていたら子供に見せて『パパもここにいるよ』とか言っているんですけど(笑)」
「即位の礼」のために1カ月の集中訓練
――豊富なご経験をお持ちな飯田2曹ですが、これから楽しみにしている任務などはありますか。
「やはり即位の礼ですね。普段は本番3日前からの訓練ですが、即位の礼では約1カ月ほど前から集中訓練を行います。それもいつもの市ヶ谷駐屯地ではなくて、広い訓練場所のある朝霞訓練場に出向いての訓練。通常の任務や儀仗もありますから、それと両立させつつなので大変だとは思いますが一生に一度あるかないかの機会ですから。私自身は列には入らずに儀仗本部でサポートをすることになりますが、本当に楽しみですね」(※11月10日の天皇・皇后両陛下のパレード「祝賀御列の儀」でも特別儀仗が予定されています)
700回を超える儀仗隊としての豊富な経験を持つ飯田2曹をもってしても、時には過酷な場面もあるという特別儀仗。国賓の来日や即位の礼など、決して失敗の許されない場面で見せる一糸乱れぬその動き。そこには、常人には真似のできない“特別儀仗隊だけ”の鍛錬された技があるのだ。
写真=佐藤亘/文藝春秋
(全2回の1回目/#2「アイロンがけ、靴磨き……陸上自衛隊の花形「特別儀仗隊」の想像を絶する訓練とは」へ続く)