2017年夏、31歳で日本フェンシング協会の会長に就任した太田雄貴さんが、マイナースポーツから脱却するために様々な施策を実行している。彼を突き動かすのはオリンピックで日本がメダルを獲得した直後の全日本フェンシング選手権での閑散とした観客席にあった。――彼と仲間たちの2年間の奮闘記『CHANGE 僕たちは変われる』が発売中。今回は本書の第4章「観るスポーツとして」全文を公開。

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5日間で50万人以上が熱狂するFISE

 2018年5月、僕はフランス南部の人口26万人の街モンペリエを訪れていました。

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 この地でバイシクルモトクロス(BMX)やパルクール、スケートボードなどのアーバンスポーツの祭典、FISE(エクストリームスポーツ国際フェスティバル)が開催されていたからです。

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 僕は、この年の1月に設立された日本アーバンスポーツ支援協議会の副会長も務めています。オリンピックでも、スポーツクライミング(ボルダリング)やスケートボードなど、アーバンスポーツが正式種目となってきている今、2020年の成功のためにもこういったスポーツを盛り上げていきたいと考え、お手伝いをしています。そしてもちろん、このアーバンスポーツの要素をフェンシングにどうやって取り入れていけばいいのか、アイデア探しの場としても捉えていました。

 広島の市民球場跡地では、これまで2度、FISEが開催されています。2019年は4日間でのべ10万3000人の観客がトップ選手のスーパープレーを間近で感じ、楽しんでいました。

©YASUNARI KIKUMA (symphonic)

 それぞれの競技単体では集客が難しくても、こういった形でなら、多くの人の目に触れることができる。入場は無料ですが、観客のデータをしっかりとることで、そのデータを将来的に収益につなげていく。こういったフェス形式のスポーツイベントには大きな可能性があるのです。

 そして、FISE発祥の地でもあるモンペリエの熱狂は、広島のそれを大きく上回るものでした。5日間で50万人以上もの観客が訪れています。こちらも入場は無料。大会運営費などはスポンサーによって賄われていることもありますが、街中がFISEで賑わっている、そんな状況です。