外国人客が半分の「ビームス ジャパン」
ビームスは海外のファッション・ピープルにリスペクトされているだけでなく、ファッションにさほど興味がない一般的な人々にもウケる要素をたくさん持っている。それは新宿3丁目にある「ビームス ジャパン」に行ってみるとよくわかる。
ビームス ジャパンは日本の魅力を発信することを目的に、2016年に開店した。そのため、47都道府県それぞれの文化を象徴する物を集めて、全県のアイコンをデザインしてわかりやすく紹介している。
店の2階から5階では、日本の若い最先端のデザイナーズブランド、書籍、雑貨などを扱っている。伝統的な陶芸を販売する一方で、現代アート作品も紹介している。そしてヒップホップの誕生において大きな存在だった80年代のラジカセのセレクションもある。
店の地下にある「日光金谷ホテル クラフトグリル」では、19世紀の文明開化気分で洗練された「チーズカツレツ」や「ライスカレー」など洋食メニューが食べられる。
最初のビームスが「アメリカン・ライフ・ショップ」だったとしたら、ビームス ジャパンは「ジャパン・ライフ・ショップ」といったところだ。
店の魂がもっとも見える一階は、昔ながらの木造建築的なお土産物屋風情を感じる設計で、中央にカウンターが配置されており、スタッフのお客様対応を360度可能にしている。
お茶碗、お猪口、雪駄などの日本らしい商品が並ぶ中、普段あまり気にしない日本生活用品もオシャレなものとして紹介されている。意外と売れているのが、消臭効果がある青森産の「ヒバチップ」(ウッドチップ)、北海道産のゴムブーツ、カレーを注ぐ金属の「ソースポット」。オシャレにアレンジしたムーンスターのズックは、学校の上履きではなくタウンウェアとしてよく売れている。柳屋のポマードは、「リーゼント作りの必需品」という過去の枠を越え、日本の歴史的な化粧品として広範囲の人に愛されている。
以前は、伝統文化とポップカルチャーを分ける分厚い壁があり、更にポップカルチャー内でも、洗練されたオシャレなカルチャーと庶民文化の壁があった。今、ビームス ジャパンではそのような境界線が抹消され、日本中の文化を平等に扱って、提供している。
ビームスの店舗の中で、今のところビームス ジャパンだけが「日本文化」の再定義をしているが、外国人観光客が増加する中、その戦略は賢い。現在、ビームス ジャパンを訪れる4~5割は外国人が占めているといい、今年の12月には渋谷店も開店予定だという。