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「ビームスはいつも最初に行く店だよ」

「その店はニューヨークの若者が集まるウィリアムズバーグ(注・ブルックリンで今一番オシャレな地区)らしい着こなしを紹介している。ビームスはいつもそのような優れたパートナーシップを作り、それがとてもうまくいっていると思う」

 海外でも買えるようになったとはいえ、ビームスの最新の商品が欲しいのであれば、実際に日本に行かないと入手できない。日本にやってくるオシャレな観光外国人の「買物計画」にビームスが組み込まれることは、今やスタンダードになっている。

「The New Consumer」という業界ニュースレターを創立したダン・フローマーはこう語る。

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「10年以上前から定期的に東京に来るようになったんだけど、ビームスはいつも最初に行く店だよ。ニューヨークやロサンゼルスからの長い飛行機の後、午後に東京に着陸し、原宿のホテルに荷物を置いたらすぐに出て、歩きで『ビームス メン 渋谷』に行くんだ。1階のオリジナル商品とコラボ商品、そして上階の厳選された品揃えをじっくり見る。時差ボケだけど、ビームスに入ると東京から大歓迎されている気分になるんだよね。ビームスの好きなところは、古典的なアメリカ文化を日本のレンズでアレンジし、自国の文化に繋いでいるところ。そこが、東京らしくて面白いと感じるね」

 この意見には、無視してはいけない要点が入っている。外国人観光客は伝統的なスシ、ゲイシャ、フジヤマだけを経験したいから来るのではなく、日本的にアレンジされた西洋の文化も楽しみたがっている点だ。つまり、定食、喫茶、カクテルバー。ビームスはそういった「ニュー・ジャパニーズ・カルチャー」の中で重要な役割を果たしている。

 

「インスタでビームスのブランドや店をチェックしているんだ」

 ビームスは「センスがいい」から外国でも好まれているが、それだけでなく、その商品を他の会社と比較すると、物凄く多様性がある。フローマーは、「ビームスにはいくつかのサブブランドがあり、それぞれが異なる視点、ジャンル、コラボレーションを反映していて、ありがたいんだよね。他のブランドも同じようにやればいいのに」と語り、デレオンも「ビームスのコラボレーショングッズは世代を超えていて、プレッピー、ストリートスタイル、ビジネスウェアなど、現在の男性のスタイル全体が1つの店だけで示せている」と、フローマーの意見に同意している。これは、レディースの観点からも当てはまる。ファッション業界のウェブメディア「The Business of Fashion」のゾーイ・スエンはこう語っている。

「私はビームスのファンよ。今すぐに着たい定番から、これから着たくなるグローバルデザイナーの服、革新的なデザイナーの服まで、すべての人に洋服を提供しているんだもの」

 インターネットのお陰で、海外の人にもビームスの世界観を見せられるようになった。

「東京にいない時は、インスタグラムで多くのビームスのブランドや店をチェックしているよ。クリエイティブディレクターの中村達也さんのこともフォローしているんだ。ニューヨークで目を覚まし、今、東京で何が起こっているのかを見るのはいつも楽しい。好きな街の文化やファッションを思い出すのにインスタを活用するのは、最適な方法だよ」(ダン・フローマー)

 彼のようにインスタで世界中の情報をキャッチするのは、今は珍しいことではない。