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特集観る将棋、読む将棋

「日程、変えよっか?」“千駄ヶ谷の受け師”木村王位らしさを実感した2つの出来事

最年長「46歳3カ月」のウラの少しの涙

2019/10/29

genre : ニュース, 社会

 10月6日の「観る将ナイト」は大いに盛り上がった。詳しくは公式レポートをご覧いただきたい。

 筆者は第1部と第2部に出演し、ファンと共に楽しい時間を過ごした。

 第2部の木村一基王位とのトークショーでは、タイトルを獲得して初のイベント、そして(一部)ノーSNS&ビール付きだったことから木村王位はいつも以上に饒舌で、お客様に大いに喜んでいただけたと思う。

「観る将ナイト」での遠山雄亮六段、木村一基王位、広瀬章人竜王(左から) ©野澤亘伸

 第2部が始まって木村王位が登場したとき、会場は万雷の拍手に包まれ、その拍手はなかなか鳴り止まなかった。

 そして自然とお客様からは「おめでとうございます」が溢れた。木村王位を祝福するその声もまた、なかなか止まらなかった。

 しかしこの日一番先に「おめでとうございます」を伝えたのは、共演した二人、漫画家の松本渚さんと筆者だろう。楽屋で最初の「おめでとうございます」を言えたことは嬉しく、そして木村王位の少し照れくさそうな笑顔が印象的だった。

 ここでイベントから少し時を遡る。

息子同然の「木村くん」が王位に

 木村王位誕生の2日後、筆者は師匠である加瀬純一七段の将棋教室に指導へ行った。前回の記事にも書いたが、木村王位がプロ入り前から指導に来ている将棋教室であり、ここで筆者も木村王位と知り合った。

 木村王位がいなくてもそこはお祝いの嵐だった。師匠に、師匠の奥様に、筆者に、そしてお客様同士でも。皆さんが「おめでとうございます」を言いたくて仕方ない感じだった。

 古株のお客様は「木村くん」と呼んでいる。王位だろうが40代後半だろうが関係なく、年配の方からみたら息子も同然なのだ。

 そして息子が悲願の初タイトルを獲得したのだ。その喜びはきっと人生でも有数のものであっただろう。