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日本でもベストセラーの韓国発“フェミニスト”本が映画化 現地の男性記者の感想は?

『82年生まれ、キム・ジヨン』

2019/11/01

 邦訳版もベストセラーとなり話題を呼んだ韓国小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が韓国で映画化され、23日、公開された。

 原作は韓国でも120万部を売るロングセラーで今でもベストセラーの常連作だが、一方、“フェミニスト本”といった批判も多く、同書を取り上げたスターのSNSが炎上するなど韓国では多くの物議を醸してきた。

 映画も然り。

映画『1982年生まれのキム・ジヨン』予告編


 製作段階から”フェミニスト映画”と騒ぎ立てられ、主演俳優にはネットで誹謗中傷が飛びかった。公開直前にはレビューでわざと評点を低くする「評点テロ」騒動も起きたが、どうなることかとフタを開けてみれば、公開9日間の観客動員数は165万人を突破。大ヒットの兆しとなっている。

娘に勧められて見たという50代韓国人男性は……

「この映画は韓国社会の縮図、韓国社会で起きていることが全部入っている」

 30代の知り合いはこう言って、映画を見ながら、母を思い、自分自身を振り返り、幼い娘のことを考え、胸が締めつけられた、と何度も映画のシーンを反芻していた。

 また、50代後半の知り合いの男性会社員はこんなことを言っていた。

「娘(20代後半)に勧められて見ました。映画を見ながら、妻、母親、職場の後輩を思い出して、自分の半生も振り返りました。私は結婚したばかりの頃、妻が働きたいというのを止めたんですね。育児に専念してくれと。今でもその時の恨み辛みは妻から出ますが、あの時、妻はこんな思いしていたのかと今になってよくわかりました。

©iStock.com

 母親は母親で姑の祖母と暮らしていましたから大変だったろうなあとか、後輩の女性たちはこんな怒りを持っていたのかとか、娘が勧めた理由についても今さらですがいろいろ考えさせられた」 

 原作『82年生まれ、キム・ジヨン』は、1982年に生まれたキム・ジヨンという女性の半生を描いた作品だ。結婚し、育児のために仕事を辞めて専業主婦となった、あなた自身か、あなたの周りにもいるような女性が生まれてから成長していく過程で遭遇し、経験した日常が精神科医師のカルテに沿って語られていく。思っていることを口にせず呑み込んでしまいがちな彼女は自分の気持ちを実母や同僚などに憑依する形で口にするようになり、病院を訪ねていた。