さらには、8月15日の光復節での文在寅大統領の演説について、北朝鮮の対南機構である祖国平和統一委員会の報道官は、北朝鮮メディアに次のように語った。
「部下らが書いてくれたものをそのまま読み下す南朝鮮当局者」
「北から狩りの銃声が聞こえただけでも便を漏らすくせに」
痛烈だったのは、文大統領が満を持して演説の中で掲げた南北統一しての経済成長を目指すというシナリオについて、「ゆでた牛の頭も天を仰いで大笑い(仰天大笑)する」と一刀両断したことだ。「ゆでた牛の頭も笑う」というのは、韓国の誰もが不愉快になる馬鹿にした表現だ。仮に日本の政治家が発言していれば、ソウルの街中が反日デモで埋め尽くされるほどの大問題になっていただろう。
その後も、10月にはアメリカの武器を購入した韓国に対して、次のようにこき下ろした。
「『支持』と『協力』を物乞いするのに余念がない、南朝鮮当局の非常に窮屈な醜態は実に恥ずかしいこと極まりない」(10月28日、対南宣伝サイト「わが民族同士」)
青瓦台も与党も、北朝鮮からの“罵倒”に沈黙するばかりか、「我々とは使う言語が違う」「文大統領が名指しされたわけではない」として北朝鮮の肩を持ってきた。文政権に南北関係の改善を願っていた国民も、さすがに「どこかおかしい」と思わざるを得ない状況になっている。
「親文在寅」新聞社内の反乱
これだけの「裏切り」にもかかわらず、支持率が大幅に低下したとはいえ、なぜ国民の4割が未だに文在寅大統領を支持し続けているのか。その理由は、韓国メディアと政権の距離にあると私は考えている。メディアには、文在寅大統領とともに朴槿恵弾劾事件を煽り立て、この政権を誕生させてしまった後ろめたさがあり、左派メディアを中心にまともな批判ができないのである。