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藤沢駅前の再開発で50年続く「立ちそばの名店」はどうなる?――自家製コロッケそばの味を守れるか

2019/11/12
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 藤沢駅の改札を出ると、すぐ目の前に南北に貫通する地下通路がある。

 昭和40(1965)年以前、ここには開かずの踏切があって社会問題になっていた。地下通路ができて、南北の往来が楽になり、市民から便利になったと大変喜ばれたそうだ。

 その4年後の昭和44(1969)年、この地下通路の一角に、立ち食いそば屋「新月」が開業した。自分が中学生だった昭和47~49年頃、「新月」に行ってそばを食べていた記憶がある。大変懐かしい店である。

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藤沢駅を南北に貫く地下通路への入り口

 3年ぶりに「新月」を訪問してみた。

 南口から地下通路に入る。そのまま少し進んで通路を右に曲がると、すし屋などがある名店街があり、その奥の場所で「新月」は元気に営業していた。

 今の店舗は富士ビルの地下の名店街にあるのだが、以前はその先のビックカメラ(元は丸井)の入っているビルの地下通路で営業していた。非常に狭いカウンターだけの店であった。

地下通路の中ほどから右折して富士ビル地下の飲食街に「新月」はある
地下街の奥でひっそりと営業。紺色の暖簾をくぐる
サイドメニューや冷やしのメニューも充実

土曜の午前から賑やかな雰囲気

 今の店は椅子席もあり、だいぶ広くなった。

 入口には紺色の暖簾、そして、移転する前の店からのものだと思うが、「自家製麺 立喰いそば 新月」と屋号の看板が輝いていた。

 訪問したのは11月に入った最初の土曜の午前11時過ぎだったが、学生さんや常連のお客さんが来店していて、人気なことがうかがえる。

店は広く椅子席もある

「新月」は女将さんと息子さんと従業員の方で切り盛りしている。

 女将さんは以前、移転する前の元丸井近くの狭い店で働いていたそうで、平成16(2004)年に先代社長から店を引き継いで、今に至っているという。