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外国人労働者がいなくなれば国産野菜は消える

実習生の様子を見守っていた農家の男性はこう話した。

「このあたりの農家の平均年齢は70歳ぐらいで、跡継ぎがいない家も多い。作業は実習生頼みなのが実情だ。実習生がいなければ農業は続けられない」

農林水産省のデータを見てみると、農業を主な仕事としている「基幹的農業従事者」の数は2010年の約205万人から2019年には約140万人と、この10年近くで60万人以上、率にして30パーセント以上も減少している。しかも、基幹的農業従事者のうち68パーセントが65歳以上の高齢者。平均年齢も2017年のデータで66.6歳となっている。

高齢化と担い手の減少が止まらない農業。そこで欠かせない存在になっているのが、海を渡ってきた若者たちというわけだ。

「東京から野菜が消える」日は来るかもしれない

農業に従事している外国人の人数は、1995年には全国で約2800人だったのが2015年には約2万1000人と、20年で7.5倍にまで増えている。

現場を支える若手である20代から30代で外国人は14人に1人だと述べたが、これをさらに都道府県別に見てみると、「首都圏の台所」茨城県ではその割合が3人に1人にまで高くなる(29.64パーセント)。この他香川県では5人に1人、長野県では6人に1人など、7つの県で割合が10パーセントを超えている。

東京大学大学院農学生命科学研究科の安藤光義教授はこう指摘する。

「農業の担い手不足が深刻な中でも野菜を今と変わらずに作ろうとすれば、『人件費の安い海外で安く作って輸入する』か『作り手として外国人に来てもらう』かだ。しかし新鮮さや安心、安全が求められる生鮮野菜は輸入には向かない。外国から技能実習生が来てくれなければ、野菜の収穫量は大きく減り、価格も大幅に上がるだろう」

茨城県の農家の男性が言った「外国人がいなければ東京から野菜が消える」という言葉は、決して大げさなものではないのかもしれない。