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担い手が減り続ける日本の農業。国の政策研究機関である農林水産研究所は、全国各地を「都市的地域」「平地農業地域」「中間農業地域」「山間農業地域」に分けてその将来を予測している。

それによれば2010年から2050年の40年間で、山間農業地域の人口が385万人から130万人と3分の1に減少し、その約半数が65歳以上になると予測されている。比較的人口の多い平地農業地域でも、1200万人から738万人と約4割減少し、高齢化率が40パーセントを超える。

「日本人が来てくれない」という農場の嘆き

農林水産研究所の予測では、日本全体の人口減少によって集落の小規模化はいっそう進行し、山間農業地域では2050年、集落の3割が人口9人以下の「無人化危惧集落」になるという。

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「人口が9人以下」かつ「半数以上が65歳以上」になると予想される集落に所在する農地は、2050年には27万ヘクタールと、日本の農地全体の約6パーセントにもなると推計されており、農林水産研究所は「担い手がまだ存在しているうちに農村の維持再生を図るための取り組みを早急に開始する必要がある」と危機感を募らせている。

農業経営者の育成に取り組む日本農業経営大学校の堀口健治校長は、調査のために全国の農場を回っているが、至る所で「日本人が来てくれない、雇用してもすぐに辞めてしまう」という嘆きを聞くそうだ。

そして同時に目にするのが、止まらない外国人への“依存”である。例えば茨城県八千代町では農家の平均的構成が家族3人と外国人実習生3人になっている他、北海道や九州でも農業に従事する外国人の存在感が増しており、彼ら彼女らがいなければ農業を続けられないのが現状なのだ。

※データや人物の肩書き、年齢、取材現場の状況などはすべて取材時のものです。