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外国人労働者がいなくなれば国産野菜は消える

「メロンを取るか、実習生を取るか」

外国人への“依存”が進む農業。そんな中、異変が起きている地域があった。

メロンの産出額日本一を誇る茨城県鉾田市では、近年、畑の風景が変化している。特産であるメロンの栽培をやめて、小松菜などの葉物野菜に切り替える農家が続出しているのだ。約600戸あったメロン農家はこの10年間で半減。一方、小松菜を栽培する農家は5年でほぼ3倍に増えた。

産地に異変をもたらしたのが「技能実習生」だというのだ。

「こんなに大勢の外国人を使うようになるとは思わなかった……」。こう話すのは、鉾田市で農業を営む50代の男性だ。

男性が初めて実習生を受け入れたのは14年前。長年「家族経営」でメロンを育ててきたが、両親が高齢となり体力的に農作業が難しくなったのがきっかけだった。若い実習生が入ったことで作業は楽になり、これなら両親がいなくてもメロン作りが続けていけると、当初は安心したそうだ。

しかしメロンは収穫が年に1、2回で、つまり収入があるのはその時期だけ。農作業が暇な期間も長く、その間は実習生の手が余ってしまう。収入がない時期、仕事がない時期にも毎月実習生に賃金を支払うのは、新たな負担となった。

メロンを取るか、実習生を取るか──。

「メロン作りを始めた親は、実習生を雇うのをやめて家族で栽培を続けようと、泣いて反対しました。でも、親がもっと年を取って働けなくなったら、私と妻だけでは農業が続けられなくなるのは目に見えていました」

外国人を増やせば収穫量も耕地面積も増える

悩みに悩んだ末に、男性は長年続けてきたメロン栽培をやめた。代わりに育て始めたのは、小松菜や水菜といった葉物野菜だ。年間を通じて栽培でき、実習生に毎月賃金を払うにはうってつけだった。

今では実習生を6人にまで増やし、耕地面積も2.5倍。気づけば「家族経営の農家」から「農業経営者」になっていた。売り上げも2倍になったそうだ。

「稼ぐ大規模農家ほど、外国人への“依存”も進む傾向にある」。JA茨城県中央会の幹部はそう話す。それを裏付けるように、農業に従事する外国人の人数と1農家あたりの耕地面積は比例関係にある。規模を拡大し、農作物の販売金額が1億円を超える“稼ぐ農家”も続出。減少傾向だった産出額も2002年以降増加に転じ、2008年以降は全国2位の座を守っている。その躍進を支えるのが、実習生だというのだ。