タモリさんがスタジオで地球儀を見て、『24時間テレビ』を批判する竹村健一さんのモノマネを急にやりだして。「今、オイルショックやらなんやらでいろいろ大変なのに、この国だけだよ、チャリティーチャリティーと言うてるのは」と大阪弁で。
すごく面白かったので、そのまま『24時間テレビ』のコマーシャルとして世に出したんですよね。
――きわどい! 竹村さんご本人の感想は?
都築 竹村さんは、後からいろいろ文句言ってたって聞いてますけど……(苦笑)。別の年には、ちょうど参議院選挙の時期だったので、タモリさんが候補者に扮して偉そうに選挙演説するCMを作った。
「肢体不自由の人とか難民とか、困っている人がいっぱい居る。君たちはそういうことに対して何もしないのかね。募金もしないのかね」「君たちはやってますか?」とその候補者が偉そうに説教した後、「でも、私はやりません」って。すると、上からポツンと何か落っこってきて、「アイタッ」みたいなことを言うってオチなんですけど。
――これもまたきわどい。
都築 要するに全部、チャリティーという権威をコケにするコマーシャルなんですよ。タモリさんって権威主義に対してものすごい嫌悪感を持っていて、初期の芸風なんて、全部そんなものだったでしょう。教授に扮してでたらめなことを言う「中洲産業大学」のネタとかね。
僕は『24時間テレビ』でチャリティーイコール権威というような図式を徹底的に破壊したかったんだけれども、その思いをタモリさんも共通して持ってたんです。
デーブ・スペクターがかけてくれた言葉
――チャリティーを、大衆がやったっていいじゃないか、と。
都築 そうそう。そう言えば、デーブ・スペクターさんがひょこっとスタッフルームを覗いて、『24時間テレビ』のことを「日本人に一番似合うチャリティーだね」と褒めてくれたことがありました。
――「日本人に一番似合う」。なぜでしょう。
都築 ちょっとしたことで表彰なんかしたりして、チャリティーだとかなんとかって日本人がやると、大体が違和感あるでしょう。
そういうことじゃなくて、普通の人が集まってきて、募金する。その気負わなさが日本の風土に合っているよね、ということを、彼は言い当てたんですよ。
(#2「感動ポルノについて『ええ、知ってます』――『24時間テレビ』生みの親にネットでの批判について聞いてみた」へつづく)
写真=平松市聖/文藝春秋