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「タモリさんも僕も偉そうなのが嫌いだった」『24時間テレビ』生みの親が語る、番組が始まった頃

『24時間テレビ』生みの親・都築忠彦氏インタビュー #1

2019/11/24
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『24時間テレビ』は、米国の筋ジストロフィー患者のためのチャリティー番組『ジェリー・ルイスのレイバー・デイ・テレソン」を真似したんだ、なんていう人もいますが、それは全くの誤りです。全く見ていません。あれは、特定の病気のためのファンド・レイジング(募金集め)です。それはそれで意義のあることなんだけれども、わたしは『24時間テレビ』で視聴者参加型の番組をやりたかった。

 

 テレビを見て、問題意識を持った子どもたちが募金に集まる、それを生放送で見た視聴者がさらに募金をする、自分たちの力で現実が変わったことが目に見える……これは24時間放送ならではの側面だと思います。

――1978年の第1回のテーマは、「寝たきり老人にお風呂を! 身障者にリフト付きバスと車椅子を!」というテーマでしたね。

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都築 当時は、老人や身体障害者が家の中に押し込められているのが当たり前だったから、“寝たきり老人”という言葉すら知らない人も多かったんですよ。社会問題化していなかった。そこで、集まった寄付で入浴車やリフト付きバス、車椅子を購入する番組をやって、こうした支援の必要性を訴えていこう、と。

 何しろ前例がないものですから、「そんなもの、成功するのか」という声もあったんだけれども、蓋を開けてみると11億9000万円を超える寄付が集まった。第1回ではチャリティー・ウォークという企画があったんですが、4万人もの人が渋谷の公園通りに集まったんですよ。視聴者のあまりの熱狂ぶりに、1回限りの番組だったはずが、当時の日本テレビの社長が生放送中に「続行」宣言をしたほどです。

『24時間テレビ』初期にタモリさんが果たした役割

――初期には、『24時間テレビ』に対して「民間がやることなのか」という批判があったとも聞きました。

都築 ありましたね。だけど、僕からすると「民間がやって何が悪いんだ」ということなんですよ。視聴者が、自らの意志で動き、課題を解決する。非常に直接民主主義的だと思うわけです。

 そういう意味で、『24時間テレビ』を広めた存在として、タモリさんはすごい重要な存在なんです。第1回のためのCMを、タモリさんを迎えて即興で作ろうということになったんですが、竹村健一さんという、最近亡くなられた英文学者……知ってる?

 

――いえ、存じ上げないです。

都築 偉そうにパイプくわえて、「大体やね」が口ぐせの、上から目線で社会評論みたいなのをやる人なんですよ。タモリさんも僕も、偉そうなのが生理的に嫌いで。