歴史問題と安全保障を同次元で捉える韓国が間違っている
さらに朝日社説は書く。
「協定の破棄決定は、輸出規制への対抗策として出されたが、この間、北朝鮮はミサイル発射を活発化させた。韓国国内でも協定を維持するほうが賢明だと専門家らが指摘している」
「協定維持が国益にかなうことは、文政権もわかっているはずだ。残る1週間内に、賢明な判断を下してもらいたい。そのためには日本政府も、かたくなな態度を緩める必要がある」
もちろん文大統領も協定の維持が韓国にとって有益なことは理解しているはずだ。だからと言って日本政府の態度を「かたくな」と批判し、「態度を緩めよ」と求める朝日社説の主張はどうだろうか。
同盟国のアメリカに説得されても態度を変えない韓国政府のほうがかたくなであると沙鴎一歩は考える。そもそも徴用工などの歴史問題と安全保障を同次元で捉える韓国が間違っているのである。
「韓国は前提条件なしにGSOMIA維持を表明すべきだ」
韓国問題で、はっきりとものを言うのが産経新聞の社説(主張)である。11月16日付の産経社説は、従来の立場を崩すことのない韓国に対し、こう訴えている。
「極めて残念な態度である。輸出管理の問題を絡めるのは筋が通らない。韓国は前提条件なしにGSOMIA維持を表明すべきだ」
分かりやすい主張である。この辺りが産経社説の真骨頂だろう。
産経社説は指摘する。
「日韓で軍事上の機密情報を共有するGSOMIAは、日米、米韓という2つの同盟を結び付けてきた。それを破棄すれば、地域の脅威である北朝鮮や中国、ロシアに対してにらみをきかせてきた日米韓の協力が後退してしまう」
日本と韓国は同盟国ではない。だが両国を同盟国のようにしてきたものがGSOMIAなのだ。アメリカの軍事的な支援もGSOMIAに頼るところがある。
「すでに、韓国が今年8月、日本に破棄を通告して以来、北朝鮮による短距離弾道ミサイル発射は拍車がかかった。非核化をめぐる米朝協議でも、米韓合同軍事演習の廃止や経済制裁解除を狙っての揺さぶりが露骨さを増している。中露両国は、9月に大規模な合同軍事演習を実施した」