「11月23日午前零時」に軍事情報協定が失効する

日本と韓国が結んだ「GSOMIA(軍事情報包括保護協定、ジーソミア)」が11月23日午前零時に失効する。

日本と韓国が北朝鮮のミサイル発射などの情報を交換するための協定だが、韓国は8月22日、日本が輸出管理を厳格化したことを理由に一方的に破棄を決めた。

韓国の同盟国であるアメリカは、破棄の決定を覆すよう強く求め続けた。11月15日にはエスパー国防長官がソウルの韓国大統領府で文在寅(ムン・ジェイン)大統領と話し合った。17日にはタイのバンコクでエスパー長官も出席して日米韓の防衛相会談も開かれたが、成果は得られなかった。

ADVERTISEMENT

写真=時事通信フォト 日米韓防衛相会談を前に手をつなぐ(左から)韓国の鄭景斗国防相、マーク・エスパー米国防長官、河野太郎防衛相=2019年11月17日、タイ・バンコク - 写真=時事通信フォト

韓国の文政権はかたくなで態度を変えようとしない。失効まで秒読み段階である。日米韓の安全保障の協力関係が崩れ去ろうとしている。

北朝鮮が次々とミサイルを打ち上げたらどうなる

韓国はこのまま破棄決定を押し通すに違いない。ならば韓国の希望通りに一度、協定を失効させてみるのもひとつの手ではある。

GSOMIAが失効しても、日本は2014年に締結された日米韓防衛当局の取り決めによって、アメリカを介した情報のやり取りはできる。ただ、GSOMIAよりも時間がかかり、迅速さは失われてしまう。

それは韓国も同じだ。文政権は北朝鮮に対して融和政策を採ってきたが、北朝鮮の核・ミサイルの開発は止まっていない。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、GSOMIAの失効を拍手喝采し、祝砲のミサイルを次々と打ち上げるだろう。

北朝鮮がミサイルを発射した場合、韓国は情報を得るのに手間取るだけでなく、アメリカの軍事支援を受けにくくなる面も出てくる。そのとき困るのは日本より韓国である。そうした事態に陥らなければ、失効の深刻さに気付けないのかもしれない。

なぜ文大統領はGSOMIAの破棄を決めたのか

なぜ、韓国の文大統領はGSOMIAの破棄を決めたのだろうか。