12月1日、愛子さまは18歳の誕生日を迎えられた。成年皇族になられるまであと2年と迫ったいま、皇位継承をめぐる議論が本格化しようとしている。最大の焦点は「女性天皇」「女系天皇」を認めるか否かだ。
最近の各メディアの世論調査では、「愛子天皇」を可能とする「女性」天皇について、賛成意見が大勢を占めている。一方、伝統を重視する保守派はこれまで通りの「男系男子」による皇位継承を主張し、母方から天皇の血筋を引く前例のない「女系」天皇容認論に警戒感を強めている。あくまで”応急処置”的だが、皇族数の減少を食い止める策として、女性皇族が結婚後も皇族にとどまる「女性宮家」も検討課題に上がっている。
この皇位継承の問題をどのように捉えていけばよいのか。政府や与野党幹部からの発言も続く中、「週刊文春デジタル」では、各界の識者に連続インタビューを行った。今回は、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏に聞いた。
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私の立場は、女系天皇と女性宮家の創設には反対、何らかの形での旧宮家の皇籍復帰は賛成、というものです。
10月22日に宮中で行なわれた、即位礼正殿の儀にお招きいただきました。わが国の歴史の深さを感じさせる素晴らしい式典でした。天皇陛下もご立派なお姿でした。2千人の招待客のうち、4百人ほどが外国の王族や元首でしたが、みなさん感じ入った様子でご覧になっていました。
皇室の伝統が長く保たれてきたことは、国民として本当に幸せですし、日本が誇るべき宝物だと実感しました。ご即位に関する儀式の一部を拝見しただけですが、それでも深い感銘を受けました。
皇室や天皇陛下は、なぜ尊敬や憧憬の対象となっているのでしょうか。見た目がよいからでもなく、スポーツなどの一芸に秀でているからでもなく、ノーベル賞を取るような才能をおもちだからでもありません。個人の個性や能力を超えた次元で、お血筋を継いでいらっしゃるためでしょう。
国民の幸せと、国家の安寧のために、さらに世界の平和のために祈り、言葉だけでなく行動でもお示しになってきたのが、歴代の天皇です。そのような価値観を、政治的権力とは無縁のお立場でずっと引き継いでこられた。そうした歴代天皇が同じお血筋で連綿とつながっています。
第16代の仁徳天皇は、民のかまどから炊煙が上がらないのに気づいて、3年間の無税と労役免除をお命じになった。お住まいの屋根が壊れても、修理をなさらなかった。さらに3年待って、民のかまどから煙が立ち上るのを見て、「民の豊かさは朕の豊かさ、民の貧しさは朕の貧しさ」とおっしゃったといいます。
国民と国家の安寧のために祈る純粋無垢な存在として、126代も男系男子で続いてきた万世一系の天皇の歴史を、無条件で私たちはありがたいと感じ、一度も断絶することなく受け継がれてきたお血筋だからこそ、皆が納得するのではないでしょうか。