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財団の理事には無関係な人物が多数
それで被害者補償がなされたのかというと、そうではなかった。ポスコ財団の理事は大学教授や市民団体関係者によって占められ、彼らの食い扶持となり、反日プロパガンダの発信の場となってしまっていた。
数少ない被害者代表として財団の理事に就任したソ・カンソク氏は、今年5月、私の取材に対してこう答えている。
「私は被害者の立場として理事になりました。しかし被害者のための団体なのだから、多くの被害者を理事に入れようという話を提案すると、市民運動家が常に反対するのです。『なぜ関係ない人間ばかりが理事になり。実際の被害者を排除するんだ!』と喧嘩したこともありました。財団が果たして被害者のために役立っているのか、という疑問を常に感じています」
歴史問題解決の障壁は市民団体だ
徴用工や慰安婦問題に代表される日韓歴史問題において、解決の最大の障害となっているのが「市民団体(市民運動家)」、そして同じ思想を持つ政治家や有識者の存在である。市民運動家が被害者よりも前に立って日本政府などに対して批判の声をあげるために、常に問題解決の途は閉ざされてきた。アジア女性基金、和解・癒やし財団などが解散に追い込まれた経緯を見れば、その事実は明らかである。
ポスコ財団も市民運動家や有識者、韓国政府の手によって活動内容を骨抜きにされてしまった(詳しくは「ルポ・徴用工裁判『その不都合な真実』#4」を参照して頂きたい)。そうした病理を抱えた団体を格上げしたところで、はたして本当に徴用工問題が解決するのかという疑問は拭えない。