昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/12/03

スマホひとつで生きていける環境

 気になった私は、「これは面白くないわけがない」と思い、宿から歩ける範囲で道という道を歩き、街中に貼られている貼り紙を見てはスマホを取り出してQRコードをスキャンするというチェック作業を始めた。

 WeChat上のフードデリバリーのほか、爆速で宅配してくれるネットスーパーや、シアヌークビル限定の中文ニュースや掲示板サービスもあり、地元中国人住民の情報交換やニュースの場ができあがっていた。もはや一歩も外に出なくてもスマホひとつでまったり生きていける環境がカンボジアの一地方都市で完成していた。

カジノは中国人の癒しの場

 さて、シアヌークビルには中国人向けの大小様々なカジノがある。カジノというと敷居が高そうだが、要は大人向けのゲームセンターである。賭け事をする必要はない。特にやることがない人がカジノに入ってまったりしていて、エアコンが効いた建物の中にはプレイルームのほか、食堂があり、またスマホを充電できるテーブルも揃っている。暑い時には、とにかくカジノに入ってしまえば困らないわけだ。至るところで見られる個人経営のネットカフェも兼ねた小さいカジノでも同じである。だんだん街歩きに慣れるにつれ、コンビニのないシアヌークビルで、私も中国系商店だけでなくカジノに避難するようになった。

人の動きを考えてネットサービスが提供されている

 ふと入ったカジノで「ええっ!」と驚かされた。よくみるとスマートフォンアプリを活用したモバイルバッテリーのレンタルサービス「シェアバッテリー」の機械が設置されてあったのだ。これまた中国本土のブランドではなく現地限定のもので、アプリをインストールすることなく機器のQRコードを読み込むと、WeChatの画面から気楽に起動できる。著名なシェアバッテリー同様、多くのカジノに展開されていて、別のカジノで返すこともできる。

シアヌークビルのシェアバッテリー

 日本や中国では、ショップやレストランなどにシェアバッテリーを置くことで、その店に入ってくれてお金を落としてくれる。カンボジアではギャンブルでじっくり遊べるよう設置されていたのだ。これでギャンブルに興じながらスマートフォンをずっといじっていてもバッテリー切れすることはない。シェアバッテリーが普及する中国ではモール内にあるが、カンボジアではカジノにある。実に人の動きを考えてネットサービスが提供されているのだ。