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連載尾木のママで

尾木ママ「ついに教員から卒業。大学生を教えて感じたこと」

2017/03/09
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イラスト 中村紋子

 先月の二十二日、法政大学で「いじめ防止対策推進法3年の成果と課題」と題して講演したの。これがボクの「最終講義」。三月で大学の教職課程センター長・教授職を辞し、いよいよフリーの教育評論家!

 中高で二十二年、大学でも二十二年、計四十四年もの教員生活もついに幕。講義の途中で泣けてくるんじゃないかと思ったけど、そんなことは全くなくて。今では肩の荷が降りて羽が生えたみたい(笑)。教員の仕事は天職で楽しかったけれど、ナマの人間の将来に影響を与えうる、という責任の重さを常に感じてたのね。

 その週末にはテレビ番組のロケ。公園でスケッチして水彩画を一日で仕上げたの。解放感からかしら、何も考えず絵に没頭しちゃった。そこへ「尾木先生! 息子が3年生の時にはお世話になりました」と男性から声をかけられたの。あ、中学の教員時代、自分のクラスにいた生徒の親御さんだ、と即座に思い出しました。修学旅行先で、漁師の命懸けの労働歌だったというソーラン節を踊って感動していた生徒達が、その涙も乾かぬうちに売店で万引き。まあ、それが子供ってものなのよね。当時ボクは学年主任だったから、PTAの学年委員長と一緒にお店のご主人にお詫び行脚したのもなつかしい。

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「いじめ」についての自著を片手に熱く語った最終講義!

 大学生を教えて感じたのは、彼らも成長途上で、大きな可能性を秘めてるってこと! ネット依存気味の男子学生に、講義の際のプリント配布を任せてみたの。受け取った学生から「ありがとう」と感謝されても、最初は挨拶も返せなかった彼が次第に心を開くようになり、今や立派な社会人に。あぁ~教員生活の思い出は尽きないわね……。

 今後はもっと視野を広くもって、皆さんと一緒に教育について考えていきたい。ブログはファンに向けた一種の「学級便り」。一生懸命更新するから、これからもヨロシクね。

尾木ママ「ついに教員から卒業。大学生を教えて感じたこと」

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