旧約聖書に収録される「ヨブ記」は“義人の苦難”をテーマにしたものと言われる。非の打ちどころがない善人ヨブが、その信仰心を試され、神によって様々な苦難(子を殺され、財産を奪われ、皮膚病を患う)を与えられる――。この理不尽な物語をもとにした舞台『ヨブ呼んでるよ』が、作・演出の西尾佳織さん率いる劇団・鳥公園によって上演される。
「受け止めきれない理不尽ということを、やっぱり東日本大震災の後には考えるようになりました。自分が今ここにあるということに、そこまでしっかりした因果関係はないのではないかと。ヨブ記を通して考えた、そんな感じのことを、なるたけまとめないで提示したいと思っています。観た人に『なんでだー!』と思ってもらえればいい」
一見「ダジャレ?」と思わせるタイトルからもわかる通り、少しトボけた雰囲気が鳥公園の魅力でもある。
「舞台も現代の日本に置き換えていますし、ヨブという人物も登場しません。観た人には『どうヨブ記なの?』って思われるかもしれない(笑)。私はキリスト教徒でも一神教の信者でもないので、距離があるゆえの、あっけらかんとした作品にしたいです」
鳥公園「ヨブ呼んでるよ」
3月16日~22日 駒場東大前・こまばアゴラ劇場にて
http://www.komaba-agora.com/play/3523